2012 Fiscal Year Annual Research Report
フォトニックDNAプロセッサを用いた核酸機能の活性化制御
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107515
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕介 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (20346191)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DNAコンピュータ / 生体生命情報学 / 応用光学・量子光工学 / 核酸 / ナノバイオ |
Outline of Annual Research Achievements |
疾病の究明やオーダーメイド医療,創薬など多くの場面で細胞を分子レベルで認識,解析,制御することが必要とされている.本研究では,細胞内の分子情報と外部からのマクロ情報に基づき細胞内の環境を効率的に制御するための手法の開発を目的とする.本年度は,DNAの適応的な活性化制御に適したフォトニックDNAプロセッサの実装技術を開発した.具体的には以下の成果が得られた. 1.蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)経路の光制御 FRETを用いるDNAナノ論理演算系において,外部光信号により演算をプログラムするための方式を考案した.この方式はアレイロジックの考え方に基づいており,波長の組み合わせにより,2値2入力1出力の全16種類の任意の演算を指定できる.また,その実装手法として,FRETペアにおけるアクセプタの活性を別の蛍光分子(アクティベータ)を介して切り換えることにより,FRET信号伝達を繰り返し制御することに成功した. 2.光パターン生成手法の検討 高い空間分解能でフォトニックDNAプロセッサを並列駆動するための光パターン生成法について検討した.サブ回折限界スポットアレイを生成する新たな回折光学素子の性能評価により,スポット密度や生成パターンの自由度に関して知見が得られた. 3.演算系の特性解析 DNAナノ論理演算系における反応速度方程式を数値解析し,その基本特性を導出した.例えば,出力信号の絶対的強度と信号対雑音比は,足場DNAの初期導入量に対して必ずしも正の相関関係にはないことを示した.この知見は,想定される入力DNA量に対して,足場DNAの初期導入量を決定するための指針となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フォトニックDNAプロセッサを構築するための要素技術は着実に構築されている.蛍光共鳴エネルギー移動経路の光制御実験,光パターン生成用回折光学素子の設計と評価,演算系のモデル化と特性解析などの実施項目で有用な知見が得られた.しかし,光による演算切り換え手法については,各波長による制御系を混合したときの実証には至らず,本年度の達成目標にはやや及ばなかったため,標記の評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度未達成の部分を含めて研究遂行上は特に問題点は生じておらず,ほぼ当初の予定通りに進める.まず,前年度に開発した要素技術を融合し,DNA機能の活性制御系を作製・評価する.プロセッサの機能を拡張するため,内部状態を保持する機構などを付加する.フォトニックDNAプロセッサの並列制御を試み,本手法の特徴や性能限界を調べていく.
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