2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖改変技術を利用したセルベースデバイスの設計
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
24107524
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 細胞 / 表面修飾 / 分子認識 / PEG / 温度応答性ポリマー / 膜タンパク質 / シアル酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,N-メタクリロイルマンノサミン(ManMA)処理により生細胞の表面に誘導したメタクリロイル基を通じて合成高分子を修飾し,細胞間相互作用を制御するとともに,細胞膜上に存在する糖タンパク質を組み込んだポリマーマテリアルの獲得を試みた.表面に修飾された合成ポリマーが細胞の機能におよぼす影響を明らかにするために,PEGを修飾したHL-60についてはIL-1αの添加によりセレクチンを発現させた正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)への接着性について評価し,PNIPAAmを修飾したHL-60については,温度変化にともなう細胞凝集の生起について調査した. IL-1α処理したHUVECに対するPEG修飾したHL-60の接着性を調べたところ,PEGを修飾することによりHL-60の粘着は減少し,シアル酸に修飾されたPEGによってリガンド/レセプター相互作用が阻害されることが認められた.しかし,HL-60とHUVECの結合が完全に阻止されないことから,PEGの修飾量によって,細胞間の結合を制御できると考えられる. PNIPAAmのLCST以下の25℃では細胞は点在しているのに対し,37℃に昇温すると,細胞が密に凝集することが分かった.このような温度応答性はManMAを処理していないHL-60には認められなかった. 以上の実験結果より,ManMA処理により細胞表面に誘導されたメタクリロイル基を介して合成ポリマーを修飾できることがわかった.本技術はシアル酸をもつ多くの細胞に応用することができ,また,原理的には-SH基を持ついかなる分子を細胞表面に修飾することを可能にするため,生きた細胞に非天然の機能を付与することができる.すなわち,細胞を要素としたDDS担体や医用用デバイスの構築が可能になると期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度に実施を計画していたセルベースデバイスの調製に関し,セルカプセルの基礎技術となる合成高分子による生細胞の表面修飾と細胞膜成分を担持させたポリマーの合成に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
セルカプセルの調整条件を最適化し、細胞内クラウディング環境における分子間相互作用の特異性について解析する。また、細胞膜成分を担持したポリマーの調製に着手し、天然の細胞と同様に複雑な生体環境で高い選択性を示すナノマテリアルの開発を試みる。
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