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2012 Fiscal Year Annual Research Report

表面水素の分極・荷電状態

Publicly Offered Research

Project AreaFrontier of Materials, Life and Elementary Particle Science Explored by Ultra Slow Muon Microscope
Project/Area Number 24108503
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

福谷 克之  東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10228900)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywords水素 / 表面・界面 / 金属 / 金属酸化物 / 氷
Outline of Annual Research Achievements

ミュオンは質量が水素の1/9の粒子で,物質中で水素の同位体として振る舞う.本学術領域で開発される超低速ミュオンを利用し,入射ミュオンのエネルギーを変化させることにより,プローブする深さを表面からサブサーフェイス領域で制御し,それぞれの深さでの水素の電子状態を解析するのが本研究の目的である.本年度は,ミュオンで調べる試料の作製と評価,また超低速ミュオン作製のためのモデレータ材料の探索とキャピラリー構造の検討を行った.
金属Pd合金および遷移金属酸化物表面近傍における水素の吸着特性を,熱脱離分光法,共鳴核反応法,光電子分光法で調べた. PdがAuとの合金層を形成すると,純粋なPdと比較し水素の吸収速度が促進されることを新たに見いだした.これは,表面から表面下への侵入障壁が低下したためと考えられる.続いてTiO2表面への水素吸着による電子状態変化を光電子分光により調べた.酸素結果のない表面では原子状水素が吸着し,バンドギャップ中に準位を形成することを見いだした.一方,酸素結果のある表面では水素分子が吸着し,欠陥由来のギャップ中準位を消失させることを見いだした.水素量を定量することで,水素がそれぞれ正・負に帯電していることを明らかにした.超低速ミュオン発生のモデレータ材料としてKIO4を検討した.150mg/cm2厚さの薄膜を作製し,予備実験として,プロトンビームの透過率を調べた.また,高速ミュオンビームの輝度向上を目的として,ガラスキャピラリーの検討を行った.100-500keVプロトンビームでの収束特性を調べるために,新たにマルチキャピラリーホルダーと透過率測定のための真空槽を作製した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

金属および遷移金属酸化物,さらにアモルファス氷試料について,所属実験室で試料の調整と予備評価を行い,超低速ミュオン実験の準備を行うのが本年度の主眼であった.Pd金属はこれまでの申請者の研究により,表面・サブサーフェスの2種類の水素が存在することが明らかにされていた.今年度はさらに,Auとの合金形成によりサブサーフェスへの侵入が促進されることを明らかにした.今後,純粋なPdと合金試料をミュオンにより調べることで,電子状態と運動性を明らかにできると期待され,サブサーフェス水素の特性と侵入促進の起源を解明できると考える.遷移金属酸化物については,基板側の電子状態を調べることで,吸着水素との電荷移動を推測し,表面状態によって正・負の2つの荷電状態があることを議論した.今後超低速ミュオンを用いて調べることで,表面における水素の荷電状態を直接測定できると考えている.実験室での試料の調整と評価は予定通り進み,今後ミュオン実験に進む準備が整った.実験室では引き続き,他の金属との合金,金属酸化物試料の実験を進める.また,超低速ミュオン発生のためのモデレータ材料も,KIO4を選択し予備的ながらプロトンビームでの透過を確認した.実験は当初の予定通り進み,今後はミュオンビームでの透過率計測に進む.キャピラリーについても,プロトンビーム透過測定のための真空槽・測定系の準備が予定通り進んでいる.

Strategy for Future Research Activity

超低速ミュオン実験ができるようになり次第,準備を行った試料をビームラインに運び,ミュオン実験を行う.Pd系金属については,既に単結晶を5枚程度(面方位の異なるものを含めて)準備ずみである.また金属酸化物試料についても,複数の試料を準備済である.試料表面を,ビームラインで清浄化する必要があるが,そのためのノウハウも確立している.Pdについては,イオン衝撃,水素処理,酸素処理が必要であり,そのためのガス導入系,試料加熱系も完備している.金属酸化物については,イオン衝撃と酸素処理,さらに電子ビーム照射が必要である.専用電子源が必要になるが,それは,今年度製作予定である.モデレータについては,ビームラインの状況を勘案し,現状より大きなφ50mmの試料を作製する必要があるが,現在そのための精密グリッド構造を作成中で6月頃には準備が整う予定である.現状は研究上の大きな問題はなく,順調に進んでいる.

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Published: 2018-02-02  

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