2012 Fiscal Year Annual Research Report
配位プログラミングによる人工シデロフォアを化学素子とした微生物固定化技術
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108717
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
猪股 智彦 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40397493)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シデロフォア / レセプター / 微生物 / センシング / QCM / ナノ微粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では、微生物が鉄イオンを摂取するために産出するキレート分子であるシデロフォアの機能モデル化合物である人工シデロフォアを化学素子として各種基板表面に修飾することにより、微生物の固定・検出・解析が行うことが可能なデバイスの構築を目指す。 本年度は主に人工シデロフォアの修飾方法の制御を行うために、イオン液体を修飾した基板上への人工シデロフォア錯体の修飾を行った。嵩高いイオン液体は基板上で密にパッキングせず、かつイオン液体間の静電反発により疎らに分子修飾されることが判明している。これを利用し、イオン液体間にできた空間にシデロフォア錯体を修飾することで各シデロフォア分子が分散した形で修飾された基板の構築を目指した。実際に作成したイオン液体ー人工シデロフォア錯体修飾基板を用いた微生物の吸着実験では、従来通り微生物の吸着が観測されたが、イオン液体分子が人工シデロフォア錯体による微生物の吸着能にどの程度影響を及ぼしているかは現在検討中である。 また同種の微生物同士を凝集可能な人工シデロフォア錯体を修飾した金ナノ微粒子を合成した。こちらを微生と共存させることで微生物同士の凝集が起こり、凝集した微生物を人工シデロフォア錯体が修飾されたQCMセンサーにより検出することが可能となった。この方法により、微粒子を用いない場合に比べて2桁程度の検出感度の上昇が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度の進捗状況は概ね当初の予定通りであり、順調に研究が進んでいるものと考えている。イオン液体修飾基板を利用した人工シデロフォア錯体の修飾実験では、使用するイオン液体自身の合成・精製に少し手間取ったため、予定していた実験の実験の一部を行うことが出来なかった。この点に関しては、合成・精製方の見直しによりある程度解決している。 またナノ微粒子を用いた実験は当初考えていたよりも進捗したため、利用するナノ微粒子の合成法の変更など細かい点まで研究を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね順調に研究が進んでいるため、H25年度は当初の計画に沿って研究開発を進めていく予定である。ナノ微粒子への応用は既にある程度のところまで進んでいるため、細胞表面の分析法への展開やこれまでに使用していない微生物への応用も視野に入れた研究を行う。また基板表面でのシデロフォアの構造情報を調べるために、表面赤外分光法などを他の班員と協力して行う予定である。
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