2012 Fiscal Year Annual Research Report
配位プログラミングによるメタル化ペプチド超構造体の創製と超分子触媒への展開
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108719
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高谷 光 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50304035)
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Project Period (FY) |
2012-06-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタル化アミノ酸 / メタル化ペプチド / 自己組織化 / 超分子 / β-バレル |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は機能性金属錯体が側鎖に結合したペプチドの両末端に,配位子を導入した配位性メタル化ペプチドを開発し,これらの金属への配位とペプチド間水素結合のプログラムに基づく三次元階層的なペプチド集積を行う事を目的として研究を行った.また,本提案課題では上記で開発した金属集積手法を用いてβ-バレル型ペプチド超構造体を創製し,これららの内部に形成される機能性ナノ空間内において結合金属の触媒機能を協奏的に発現しうる超分子触媒システムの開発を目的とした研究を行った. 平成24年度の研究において,申請者らはPd, Pt, Ruの結合したアミノ酸(ノルバリン)誘導体を開発し,これらの両末端にピリジン等の配位部位を導入した配位性メタル化アミノ酸およびペプチドの合成に成功した.また,SPring-8での結晶解析によってこれらの精密分子構造の決定に成功した.特にPd結合型ペプチドのX線解析については世界初である.また,これらの自己組織化について詳細な検討を行ったところ,DMFをはじめとする各種有機溶媒中でβ-シート型の超分子集合体を与えることを見出した.現在,配位性部位を有するRu結合型アミノ酸とRe,Ru,Pd等の金属を用いた自己組織化の検討を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目標としていた配位性部位を導入したPd, Pt, Ruメタル化アミノ酸の合成に成功した.また,RuおよびPd結合型のペプチド合成の新手法の開発に成功し,メタル化ヘキサペプチドをマルチグラムスケールで合成する実用的なルートを確立した.これによって,自己組織化の条件検討に必要な十分量のメタル化ペプチド確保が可能となった.また,Pd結合型の配位性ペプチドについてSPring-8での結晶構造解析に成功したことで,詳細な分子構造および結晶内での集合様式(β-シート型)が明らかとなり,β-バレル構造構築のための分子設計指針を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には,平成24年度に合成した配位性部位を有するPd,Pt,Ru結合型アミノ酸およびペプチドを用いて,自己組織化と超分子構造体構築のための詳細なスクリーニング実験を行う.構造決定ではSPring-8における微小結晶解析,XAFS,小角X線構造解析および3次元NMR法による精密超分子構造の解析を目指す.また,平成24年度に見いだしたRu結合型ノルバリンおよびペプチドを用いる過酸化水素触媒反応を,本年度に得られたβ-バレル超分子ペプチドおよびその他メタル化ペプチド超分子を触媒とする反応へ拡張を行い,化学選択性および不斉選択性について詳しい研究を行う.
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