2012 Fiscal Year Annual Research Report
配位プログラミングによるバイオガス分子放出材料の創成と細胞操作
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古川 修平 京都大学, 物質-細胞統合システム拠点, 准教授 (90452276)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 配位プログラミング / 金属錯体 / 配位高分子 / 細胞刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
一酸化窒素(NO)、硫化水素(H2S)、一酸化炭素(CO)などのバイオガス分子は、生体内において神経伝達分子として知られており、特に心臓機能や脳の記憶メカニズムにおいて重要な役割をはたしている。一方でこれらバイオガス分子は濃度が高すぎると毒性を有するため「諸刃の剣」として働く分子である。生体内においてこれら分子は酵素反応によって製造されており、これら生体ガス分子の作用を様々な細胞で調べるためには、人工的材料による放出制御システムの開発が待ち望まれていた。 本研究では、金属イオンと有機配位子の自己集合化により組み上がる三次元構造体である「多孔性金属錯体」に、有機化学的及び無機化学的アプローチによるプログラミングを施し、全く新しい光応答型バイオガス放出材料の構築を行うことを目的としている。 本年度は、一酸化窒素(NO)放出制御有機配位子を用いた配位プログラミングによる多孔性金属錯体の合成と光刺激によるNO放出制御実験の課題を遂行し、NOを光刺激で放出可能な多孔性金属錯体の合成に成功し、生細胞を用いた実験により、放出されたNOが生細胞内で膜貫通タンパク質と反応し、カルシウムイオン濃度の増加を引き起こすことを実証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、光刺激によりバイオガス分子を放出する多孔性金属錯体の合成を行う予定であったが、研究が計画以上に進展したため、生細胞を用いた研究に着手した。バイオガスセンサータンパク質を過剰発現したモデル細胞への化学刺激実験を行ったところ、多孔性金属錯体から放出された一酸化窒素がタンパク質と反応し、その結果として、細胞内のカルシウムイオン濃度が上昇していることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度までの研究により、一酸化窒素放出システムについては当初の目的を果たしたといえる。しかしながら、硫化水素(H2S)の放出研究に関しては未だ達成されたことのない課題であり、次年度はこのH2S放出システムの合成と生細胞を用いた研究を中心に遂行する予定である。
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