2012 Fiscal Year Annual Research Report
核酸塩基の自己組織化に基づく配位プログラムを活用した高次配列制御
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108722
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森内 敏之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60281119)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 核酸塩基 / ピンサー型錯体 / 自己組織化 / 空間制御 / 発光 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高次構造および不斉会合特性を有する生体分子を土台分子として着目し、自己組織化に基づく配位プログラムにより発光特性や触媒能を有する機能性金属錯体の緻密配列制御を行い、機能性超構造分子システムを創製することを目的とする。本年度は、ウラシル部位を有するピンサー型金属錯体の設計合成と会合特性について検討を行った。 ピンサー型金属錯体は特異的な配位形態により金属中心が安定化され、触媒活性や発光特性を示すことが知られている。ウラシル部位を有するNCNピンサー型金属錯体を合成し、固体状態における構造特性について検討を行った。ピンサー型配位子と6位にエチニル基を導入したウラシル誘導体をカップリングすることにより、ウラシル部位を有するピンサー型配位子を合成した。ピンサー型配位子と白金あるいはパラジウム塩との反応により、対応するNCNピンサー型金属錯体Pt-MeCNおよびPd-MeCNを得た。NCNピンサー型白金(II)錯体Pt-MeCNのX線結晶構造解析を行った結果、ウラシル部位間の水素結合に基づくダイマーが形成されていることが明らかとなった。また、NCNピンサー型金属錯体Pt-MeCNおよびPd-MeCNの細胞増殖抑制作用に関して、ヒト癌細胞株を用いて検討を行ったところ、高い細胞毒性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高次構造および不斉会合特性を有する生体分子を土台分子として着目し、自己組織化に基づく配位プログラムにより発光特性や触媒能を有する機能性金属錯体の緻密配列制御を行い、機能性超構造分子システムを創製することを目的としている。これまで、相補的な水素結合能、不斉会合特性および配列・組合せが可能な核酸塩基に着目し、自己組織化に基づく配位プログラムにより機能性金属錯体の高次配列制御および機能特性について展開してきた。特に平成24年度は、触媒や発光特性を有するピンサー型金属錯体部位を導入したウラシル誘導体を設計合成し、固体状態における会合特性について明らかにしている。平成25年度に展開を予定している機能性金属錯体の配列制御に基づく触媒機能化のための重要な知見が得られており、目的達成にむけ順調に研究が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度までに得られた知見をもとに、自己組織化に基づく配位プログラムによりオクタマーやカラム状超構造体を構築するとともに、超構造体形成に基づく発光や触媒特性などの特異機能を解明する予定である。さらに、不斉組織化オクタマーを配位子とする不斉組織化反応場の開発を行う。また、自己組織化に基づく配位プログラムによって金属活性中心やπ共役系部位が分子レベルで精密制御された人工DNA型超分子錯体を開発するとともに、不斉二重らせん構造に起因する不斉場を利用した不斉反応空間場としての位置づけを行いたいと考えている。pH変化や外部刺激に基づく発光特性や触媒能の動的機能制御を行う。
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Research Products
(22 results)