2012 Fiscal Year Annual Research Report
機能性多孔質超構造体の特殊ナノ空間を利用した外場応答性光電素子への応用展開
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108723
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤内 謙光 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30346184)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 結晶工学 / 多孔性構造 / 光電素子 / ナノ空間 / 超分子クラスター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、機能性有機分子を非共有結合により組み合わせることにより階層的に超分子クラスターを作成し、さらにクラスターを自律プログラムに従い組み上げることにより超構造体を構築して、機能性多孔質材料を創製することである。形成される特殊ナノ空間を用い、通常の環境下では有機無機複合材料が達成できない物性・機能を引き出すことを目指す。特殊ナノ空間の構築に弱い相互作用を利用することで、光や熱、力など外部刺激により構造変化させ、ダイナミックに固体物性(発光挙動・非線形光学特性・導電性の変調が可能な、革新的性能を持つ有機無機複合デバイス(外場応答、センシング、イメージングツール)の作成に挑戦する。いかに本年度の成果を列挙する。 1.多環式芳香族化合物にスルホン酸基を導入した機能団分子を合成した。具体的には、アントラセンスルホン酸の複数の位置異性体、ピレンスルホン酸誘導体、ペリレンスルホン酸誘導体を合成した。得られた機能団分子を種々のアミンと組み合わせて、複合体物質(スルホン酸アミン塩等)を作成した。また、複数の機能団分子、あるいはアミンを用いて、多環式芳香族溶剤を鋳型とした3成分混合複合物質を作成した。 2.良好な結晶を作成し、単結晶X線構造解析により超分子集合を明らかにした。放射光施設SPring8(ビームラインBL38B1)を利用し、研究室では測定が困難な極めて小さな結晶の構造解析にも成功した。 3.すべての組み合わせから超分子クラスターが形成していることが明らかとなった。超分子クラスターを非共有結合により階層的に集積さることにより、多孔質構造を構築していることが明らかとなった。 4.多孔質構造は組み合わせた鋳型分子により様々な大きさや、形状をしていることが分かった。また、その中に導入する化学種により光電子特性が変化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度から目的としていた様々な大きさや形状をもつ多孔質構造を得ることができ、おおむね研究は順調に進展していると考えている。さらに光電子特性が変化することも示唆され、今後の研究展開に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は得られた多孔性物質の機能開発を行い、化学刺激および物理刺激による機能変換の機序を明らかにしていく。また、本年度得られた多環式芳香族スルホン酸の化学構造をもとに新しい分子設計により、より高機能な化学物質を創生する。
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