2012 Fiscal Year Annual Research Report
配位プログラミングを利用した円偏光発光セキュリテリー分子システムの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108728
|
Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
河合 壯 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (40221197)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 円偏光 / キラル / 配位 / 蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
希土類錯体の円偏光発光性について、開環重合型配位子を利用してキラルな配位高分子型希土類錯体の合成に取り組んだ。その結果、高分子量体が形成していることを質量分析スペクトルなどから明らかにした。さらに溶液中において円偏光発光性を示すことが見出された。さらにその円偏光発光性は溶媒の配位性に大きく依存することを見出した。これは溶媒が弱く配位することにより、重合性が発現することに対応することが質量分析スペクトルなどから示唆された。また、3座配位子を有するキラル希土類錯体の合成にも成功し、比較的大きな円偏光発光性を有することが明らかになった。これらの配位化合物をインクとして利用するインクジェットパターンニング技術の開発に取り組んだ。ホスト材料として種々の分子および高分子材料を検討した結果、低分子量ホスト材料が比較的使いやすくノズルのつまりやライン形成の再現性においても優れていることが明らかになった。そこで弱い配位性を有するDPPOP分子をホスト材料とし、キラルEu錯体を発光剤としてインクジェット技術によるパターン形成に取り組んだ。その結果、再現性よくラインや文字の形成が可能であることが見出された。これらの他、領域の内の共同研究により新しい研究課題の探索として、立命館大学の前田らの試料について円偏光発光性を検討し、特徴的な円偏光特性を見出した。また、山形大学金井塚らとの共同研究では配位ポリマー材料のナノ結晶とカーボンナノチューブの複合材料の合成に取り組みその熱電変換特性の評価に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた検討項目は順調に進展しており、最終目標であるインクジェット技術による多重セキュリティー技術を間もなく達成することが期待される。さらに領域内の共同研究により新たな研究課題の創出に成功しており、期待以上の進展と判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
インクジェット法によるキラルセキュリティーパターン形成について研究を進め、不可視マーキングの加工と読み出しの実証を行う。また波長多重化に向けてTb錯体についても検討を行う。
|