2012 Fiscal Year Annual Research Report
固体電気化学を基盤としたイオンによる磁気特性の可逆制御
Publicly Offered Research
Project Area | Coordination Programming - Science of Molecular Superstructures for Chemical Devices |
Project/Area Number |
24108743
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大久保 將史 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20453673)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 磁性 / 電気化学 / 電池 / 錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、集積型錯体における機能性として、光・圧力・ゲスト分子等の外部刺激による磁気特性の制御が盛んに研究されている。特に、イオン拡散チャンネルと電子伝導経路を併せ持つ配位高分子は、固体電気化学的イオン脱挿入に伴うホスト構造の酸化還元反応と、それに伴う磁性を含めた様々な物性のスイッチング現象を示すことが期待される。本研究では、イオンと電子の混合伝導性を示す配位高分子の開発を行い、磁性制御を実現する。また、ホスト構造中におけるゲストイオンのダイナミクス、イオンと共に注入されるスピンのホスト構造中での状態を解析することで、配位高分子における固体電気化学という学術的基盤の確立を目指す。2012年度においては、古典的シアノ架橋配位高分子であるプルシアンブルー類似体を用いて、Li+と同時にホストに挿入される電子がFeサイトをランダムに占有すると仮定した固溶体モデルにおいて、磁気的相互作用を分子場(平均場)近似して求めた低温における磁化の温度依存性は、実験結果と良い一致を示した。また、モデルから予想される磁気転移温度のLi+挿入量依存性も実験結果と良く一致し、定量的な固体電気化学反応による磁気特性の可逆制御に成功した。また、オクタシアノ錯体を基本ユニットとした電気化学的イオン脱挿入可能なシアノ架橋配位高分子ホストの開発を行い、全率固溶のリチウムイオン挿入脱離、ナトリウムイオン挿入脱離が可能であることを示した。また、スピン状態変化を利用して、フェリ磁性と常磁性のスイッチングを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画のプルシアンブルー類似体における電子状態制御を電気化学的イオン挿入脱離反応で達成しただけでなく、新規なオクタシアノ錯体を用いたホスト構造の合成、及び、固体電気化学反応の創出に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
固体電気化学反応による磁性制御の工業的応用のためには、高い転移温度を持つ磁気材料において磁気特性制御を達成する必要がある。配位高分子の多様性を利用して磁気相互作用を強めることで、高い転移温度を有する配位高分子電極の達成を目指す。
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Research Products
(9 results)