2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高強度マグネシウム合金の相変態挙動に基づくLPSO構造形成メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Materials Science of synchronized LPSO structure -Innovative Development of Next-Generation Lightweight Structural Materials- |
Project/Area Number |
24109507
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
徳永 辰也 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (40457453)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 相変態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,構造変調と濃度変調が同期した長周期積層(LPSO)構造を有する高強度マグネシウム合金を対象とし,主として熱的変化の観点から,LPSO構造の形成・変化が関与する相変態を明らかにすることを目的としている.今年度は,ほぼ100%のLPSO構造で構成されるMg_85Zn_6Y_9合金を対象とし,示差走査熱量計(DSC)による熱分析を行った.さらに,相変態前後における結晶構造変化を調べるためにX線回折測定も併せて行った.DSC測定においては,10-90℃/minの種々の速度で液相線温度以上まで加熱した後,数10℃/min程度の速度で室温まで冷却した.DSC測定の結果,490℃および530℃付近において吸熱ピークが現れること,および同じ試料を同じ条件で再度DSC測定を行うと,2つの吸熱ピークが消失することが明らかになった.吸熱ピークが消失した試料を400℃で最大48時間まで熱処理してDSC測定に供したところ,5時間以上熱処理した試料については,490℃および530℃付近における吸熱ピークが再び現れるようになった.400℃で熱処理を行った試料のX線回折測定を行った結果,熱処理時間が長くなるにつれてLPSO構造においてZnとYが濃化した原子面に関係する回折ピーク強度が増大することが明らかになった.これから,DSC加熱曲線における490 ℃の吸熱ピークは,ZnやYの積層欠陥への濃縮度合いあるいはZnとYが濃化した面内における規則化に関係した相変態に対応している可能性が示唆された.さらに,ZnとYの積層欠陥への濃化は凝固後の冷却速度に影響を受けることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DSC測定における加熱速度,試料容器,測定雰囲気等を検討し,LPSO構造の形成・変化に伴う微小な熱的変化の検出に適する条件を確立することができた.DSC測定の結果,LPSO形成に関係する吸熱ピークを検出するとともに,ZnとYの濃度変調へ及ぼす冷却速度および熱処理時間の影響が明らかになった.以上の成果は,LPSO構造形成メカニズムの解明に資する重要な知見であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,100%のLPSO構造で構成されるMg_85Zn_6Y_9合金のみを対象としたが,今後は,25%のLPSO構造で構成されるMg_97Zn_1Y_2合金における18Rから14Hへの構造変化,Mg_97Zn_1Gd_2合金における熱処理に伴うLPSO構造形成について,熱的変化の観点から相変態挙動を明らかにする.さらに,より規則配列度の高いMg-Al-Gd系合金における相変態挙動についても調べる予定である.上記の合金系について得られた結果を統合することにより,LPSO構造形成・変化に及ぼす因子をそれぞれの合金系の熱力学的性質と関連付けながら議論したい.
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Research Products
(6 results)