2012 Fiscal Year Annual Research Report
シアリダーゼによる神経機能の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Deciphering sugar chain-based signals regulating integrative neuronal functions |
Project/Area Number |
24110514
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
宮城 妙子 東北薬科大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (50006110)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 神経科学 / 遺伝子 / 発生分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
4種のシアリダーゼのうち、主に、ガングリオシドを基質とするNEU3およびNEU4について、神経機能との関連性を詳細に調べた。マウス脳の発達に伴い、NEU3発現は、胎生期には高いレベルを維持していたが、生後には低下し、逆に、NEU4は、胎生期に低い発現を示すが、生後3-14日後には急激に上昇した。さらにNEU3は、NGFやレチノイン酸等によってNeuro2aやPC-12細胞での神経突起形成を誘導するが、NEU4は抑制傾向を示すことが確認された。両酵素の神経細胞分化に対する相反する制御機構をシグナル伝達あるいは内因性基質の観点から検討を続けている。 一方、NCAMポリシアル酸を分解できる酵素は哺乳動物では全く同定されていなかったが、4種のシアリダーゼのうち、NEU4がその対象シアリダーゼであることが強く示唆された。即ち、in vitro assay系では基質としてのポリシアル酸を効率良く水解し、NEU4を高発現させた神経芽腫細胞においてもNCAMのポリシアル酸を分解した。さらに、マウス視床下部プライマリーニューロンを用いて、NEU4を高発現させると、NCAMポリシアル酸の分解に伴い、神経軸索の伸長が抑制され、逆に、siRNAによるノックダウンによって促進した。共焦点顕微鏡観察によりNEU4がgrowth cornと共在していることがわかった。 以上の結果について、既に作成済のNeu3KOあるいはNeu4KOを用いて、さらに、それらのdouble KOマウスを作成して、個体レベルでの解析の準備をしている。 また、脳腫瘍の約3割を占めるグリオーマにおいて、最も悪性度の高い予後不良のグリオブラストーマの特徴は浸潤性進展である。NEU3がこの浸潤能に深く関与していることがわかった。この分子機構の解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞レベルの観察についてはおおむね順調に進んでいるが、個体レベルの検討がやや遅れている。既に作成済のNeu3KOについては凡そ準備完了し、近く詳細な観察に着手できるが、Neu4KOやNeu3/Neu4double KOについては、カナダの研究者との共同で進めて居るので、やや時間がかかっている。しかし、数ヶ月以内に着手可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
シアリダーゼの神経機能における役割の解明を目的に、神経培養細胞やプライマリーのマウス視床下部ニューロンやミクログリアを用いた細胞レベルの解析を行ない、 さらに、NEU3やNEU4の遺伝子改変マウスについて、個体レベルでの解析を行なう。具体的には、(1) NEU3とNEU4の神経分化制御における反応産物を同定する。(2)NEU3とNEU4の相反する神経分化制御機構について、シグナル経路を詳細に解析・比較する。 (3) 軸索伸長におけるNEU3とNEU4の役割について、伸長因子である細胞外基質ラミニンやフィブロネクチン等 との関連性を調査する。(4) 軸索再生におけるNEU3とNEU4の役割を軸索再生阻害分子等との関連において解析する。とくに、軸索再生を阻害するミエリン関連糖蛋白であるMAGとの機能的関連性を調査する。 (5) Neu3KO、Neu4KOマウスにおいて、さらに、Neu3/Neu4 doubleKOについて、神経機能に関わる行動実験を詳細に行ない、脳組織等での病理的解析や関連分子の解析も行なう。(6) 脳腫瘍の最も悪性度の高い予後不良のグリオブラストーマにおいて、NEU3がこの浸潤能に深く関与していることが明らかになったので、この分子機構の解析を進める。
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Research Products
(21 results)