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2012 Fiscal Year Annual Research Report

糖鎖遺伝学を用いたシナプス形成・可塑性におけるヘパラン硫酸微細構造の機能解析

Publicly Offered Research

Project AreaDeciphering sugar chain-based signals regulating integrative neuronal functions
Project/Area Number 24110521
Research InstitutionTokyo Metropolitan Institute of Medical Science

Principal Investigator

神村 圭亮  公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 主席研究員 (30529524)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsヘパラン硫酸 / プロテオグリカン / シナプス / ショウジョウバエ / Wnt / グルタミン酸受容体 / 神経筋接合部
Outline of Annual Research Achievements

ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)はコア蛋白質にヘパラン硫酸鎖が結合した糖蛋白質であり、様々な分子と相互作用することで多くの生物学的現象に関与する。HSPGがこの様な多彩な機能を示す一つの原因は、ヘパラン硫酸鎖が様々な酵素により修飾を受け、極めて多様な微細構造を持つためだと考えられている。しかし生体内におけるヘパラン硫酸修飾の重要性については未だに多くの点が不明である。そこで本研究では、近年様々なヘパリン結合性分子の関与が指摘されているシナプスにおけるHSPG及びヘパラン硫酸修飾の役割に注目し解析を行った。HSPGの機能解析を円滑に進めるため、卓越した遺伝学的手法が有効なショウジョウバエの神経筋接合部に注目して実験を進めた。解析した結果、 分泌型HSPGであるパールカンがWg蛋白質の局在を調節し、シナプス前部と後部の形成を協調させていることが示唆された (Kamimura et al., JCB, 2013)。またパールカン欠失変異体ではシナプスにおけるグルタミン酸受容体の局在に異常をきたすことが分かっている。さらに、ヘパラン硫酸 N- 脱アセチル化 N- 硫酸転移酵素 (NDST) 及び 6-O 脱硫酸酵素 (Sulf1) の変異体を用いた解析から、ヘパラン硫酸の微細構造がシナプス形成やグルタミン酸受容体の局在を調節することが分かった。以上のことから、HSPGはヘパラン硫酸の微細構造を介してシナプス形成に深く関与することが明らかとなっている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

昨年度の研究計画の一つは、HSPG及びヘパラン硫酸微細構造と相互作用するシナプス分子の同定することである。我々はHSPGの一つであるパールカンが神経筋接合部の形成においてWgと相互作用することを見出した。またパールカンはヘパラン硫酸鎖のN-硫酸基を介してWg依存的なシナプス後部の形成に関与することを明らかにした。さらにヘパラン硫酸6-O脱硫酸酵素の変異体を観察した結果、シナプス形成に異常をきたすことが分かり、ヘパラン硫酸の微細構造がシナプス形成を調節することが判明した。
昨年度に計画したもう一つの研究内容は、HSPG及びヘパラン硫酸微細構造によるシナプス分子の機能調節機構を解析することである。我々はパールカンがシナプス後部に特徴的な膜構造であるsubsynaptic reticulum (SSR)においてWg蛋白質の分布を調節することで機能することを明らかにした。一方、Wg蛋白質の局在調節においてヘパラン硫酸のどのような微細構造が関与するのかはまだ分かっておらず、今後明らかにする予定である。

Strategy for Future Research Activity

これまでの我々の結果から、HSPGがシナプス形成において重要な働きをすることが分かってきた。そこで今後は本研究を発展させ、シナプスの可塑性におけるヘパラン硫酸微細構造の役割を調べる予定である。これまで、ショウジョウバエの遺伝学的手法を用いて運動神経細胞の神経活動を活性化すると、神経筋接合部のシナプス終末の数が増加することが知られている。そこでこのようなシナプスの可塑的な構造変化がHSPG関連遺伝子群の変異により影響を受けるのか解析する。これによりシナプスの可塑性におけるHSPGの重要性が明らかになる。また、Wnt等のシナプス分子の局在が神経活動依存的に変化することが報告されているが、そのメカニズムは不明である。そこで、これらシナプス分子の神経活動依存的な局在変化がヘパラン硫酸の修飾により調節されているのかどうか調べる。またHSPG関連分子そのものの局在が神経活動に依存して変化する可能性について解析する。以上の実験により、シナプスの可塑性におけるヘパラン硫酸微細構造の詳細な作用機構を明らかにする。
以上の解析と平行して、シナプス異常を示す様々なHSPG関連遺伝子変異体のヘパラン硫酸の微細構造を生化学的に解析する。具体的には、ハエからヘパラン硫酸を抽出し、酵素を用いて二糖単位に分解後、HPLCを用いて分離・検出する。また、既に構造が分かっているヘパラン硫酸とシナプス分子との直接的な相互作用をBiacoreシステムを用いて調べる。これにより、シナプス分子と結合するヘパラン硫酸の微細構造を明確にする。

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Perlecan regulates bidirectional Wnt signaling at the Drosophila neuromuscular junction.2013

    • Author(s)
      Keisuke Kamimura
    • Journal Title

      The Journal of Cell Biology

      Volume: 200 (2) Pages: 219-233

    • DOI

      10.1083/jcb.201207036.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ショウジョウバエの神経筋接合部におけるヘパラン硫酸プロテオグリカンの機能解析2012

    • Author(s)
      神村圭亮
    • Organizer
      第85回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      福岡県、福岡市
    • Year and Date
      2012-12-14 – 2012-12-16
  • [Presentation] ショウジョウバエの神経筋接合部においてパールカンはWntの双方向性シグナルを調節する2012

    • Author(s)
      神村圭亮
    • Organizer
      第35回日本神経科学大会
    • Place of Presentation
      愛知県、名古屋市
    • Year and Date
      2012-09-18 – 2012-09-21
  • [Presentation] Perlecan regulates bidirectional Wnt signaling at the Drosophila neuromuscular junction.2012

    • Author(s)
      Keisuke Kamimura
    • Organizer
      Gordon Conference, Proteoglycans
    • Place of Presentation
      Andover, NH, USA
    • Year and Date
      2012-07-08 – 2012-07-13

URL: 

Published: 2018-02-02  

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