2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ界面近傍における電子状態の診断
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
24110715
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
富田 健太郎 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (70452729)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 気液界面プラズマ / トムソン散乱法 / 大気圧非熱平衡プラズマ / イオン液体 |
Outline of Annual Research Achievements |
プラズマ(気相)と電極などの固相間の界面物理状態はプラズマプロセスに直接的に関わるため、これまで様々な研究が行われてきた。一方、近年では、気相・固相間の作用だけではなく、液面に放電プラズマを照射させるなどの取り組みが盛んに行われている。これらの研究は、液体が介在することになる、プラズマのバイオ応用や医療応用研究の基礎になるものである。プラズマをバイオや医療応用に用いるとき、真空容器が不要で、熱的破壊作用を伴わない大気圧非熱平衡プラズマ(以下、大気圧プラズマ)の利用が望ましいとされているが、大気圧プラズマが液体表面で生成された時、プラズマにどのような変化が生じるかは、まだあまり実測されていない。プラズマとの界面が、従来の固相から液相に変わるとき、プラズマによる液相中の変化を観測することはもちろん重要であるが、気相であるプラズマ中の変化を知ることも、気相・液相間の反応理解を進める上で重要と考えられる。 このような背景のもと、本研究では液体と接する大気圧プラズマ中の電子状態診断を試みた。大気中ではプローブ法や発光分光法では、プラズマを乱したり、計測結果の解釈に曖昧さが生じると考え、主体計測手法として、レーザートムソン散乱(LTS)法を据えた。さらに、その計測結果を補完し、信頼性を高める目的で、発光分光計測を行った。プラズマと接する液体としては、蒸気圧が極めて小さいことで知られる、イオン液体を用いた。このイオン液体を電極として、ナノ秒オーダーのパルス電流による熱的に非平衡な放電プラズマを生成し、そのプラズマ中の電子密度や電子温度の時間変化をLTS法で観測した。電極の極性を変えたり、イオン液体部分を同形状の金属電極に変えて、その時の電子密度や電子温度を比較した結果、電子密度や電子温度に有意な差が生じることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、液体を含まない低気圧および高気圧のプラズマを研究対象にしていたが、高気圧プラズマの今後の展開を考慮して、当初計画に加えて、液体表面で生成される高気圧プラズマの研究を追加した。この新たな研究内容を進めるために、多少の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、液体が介在した大気圧非熱平衡プラズマの診断を、主にレーザートムソン散乱法で行なっている。今後は、それを補完し、計測結果の信頼性を高めるために、発光分光法など他の計測をさらに推し進めていきたい。また、本新学術領域研究内では、申請者が計測対象としている、液体が介在する大気圧非熱平衡プラズマが盛んに用いられている。申請者が行なっている診断手法を、他の申請者と連携して用いることで、よりよい研究成果が得られると予想されるので、他の申請者との連携も進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)