2012 Fiscal Year Annual Research Report
IV族元素を基盤とした膜とプラズマとの反応解析によるプラズマ応用プロセスの最適化
Publicly Offered Research
Project Area | Creation of Science of Plasma Nano-Interface Interactions |
Project/Area Number |
24110716
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
篠原 正典 長崎大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80346931)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 赤外吸収分光法 / 多重内部反射 / プラズマ / アモルファス炭素膜 / IV族元素 / 自己組織化膜 / 反応 / 生体分子 |
Research Abstract |
現在,プラズマのバイオ・医療への適用が注目されている。ゆるぎなくバイオ・医療応用を行うために,反応メカニズムの詳細を明らかにした上でのプラズマの技術開発が必要である。生体関連分子は炭素を基盤とする材料であるので,IV族元素で構成された膜とプラズマとの反応を明らかにできれば,バイオ関連の分子とプラズマの反応に有益な情報が得られるはずである。それゆえ,IV族元素を基盤とした膜とプラズマとの反応解析より,プララズマの医療・バイオ応用の最適プロセスを提示することを目的とした。 本研究ではまず,アモルファス状の炭素膜とプラズマの相互作用を調べた。滅菌・殺菌作用に注目し,酸素プラズマによる酸化過程について調べた。膜中のCH結合中にプラズマ中の酸素が入り込みCOH結合が形成される。さらに,この反応は高温ほど抑えられることがわかった。一方,基板温度が高温になるほど,酸素プラズマにより膜中の水素が引き抜かれることがわかった。高温でプラズマを曝露した膜も親水性が向上するのは,膜表面の水素が減少し未結合手が増大しているからと考えられる。 次に,化学結合状態。膜の構造が規定される自己組織化膜(SAM膜)とプラズマとの反応に注目した。SAM膜の種類を選ぶことで様々な官能基を持った表面状態を作り出せるため,特定の官能基とプラズマの反応を調べることが可能である。本研究ではタンパクの主要な構成要素であるNH2に注目し,NH2で終端されたSAM膜と大気圧空気プラズマとの反応を調べた。赤外吸収スペクトルで観察されたNH2のピークは大気圧プラズマの曝露により減少する。これは,NH2基は大気圧プラズマで形成されるクラスター状の水により分解され,さらに分子の骨格を形成しているCH2も分解されたことによると考えられる。滅菌・殺菌作用ではタンパクの分解が重要であることを示唆していると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
IV族源を元素を基盤とした膜を当初は,Si, SiCなどを硬い膜を想定していたが,柔らかい分子性の膜を取り扱うことにより,プラズマの生体応用に関する知見を得ることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
生体モデル膜として自己組織化膜を用いて,プラズマとの反応を「その場・実時間」計測によりプラズマ-膜表面の相互作用・表面反応を調べる。プラズマとして,生体内での応用が期待できる液中プラズマを用いつ予定である。
|