2012 Fiscal Year Annual Research Report
小脳バーグマングリア微小突起によるシナプス修飾の維持・破綻に関する研究
Publicly Offered Research
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
24111509
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
大倉 正道 埼玉大学, 脳科学融合研究センター, 准教授 (70369172)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 神経科学 / 小脳 / グリアー神経連関 / アストロサイト微小突起 / 樹状突起スパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
小脳は姿勢制御・運動学習等の中枢であるが、小脳皮質において唯一の出力神経細胞であるプルキンエ細胞(PC)の発火活動は、PCとアストロサイトの一種であるバーグマングリア(BG)とのグリア―神経連関により修飾され、その異常によって脊髄小脳失調症(SCA7)等の疾患が引き起こされる。近年シナプス近傍の環境に重大な影響を与えるアストロサイト微小突起が海馬等でシナプス活動に伴って短時間のうちにダイナミックに伸縮することが分かってきた。本研究では、小脳でもBGの微小突起が伸縮するのか、またその伸縮が突起内Ca2+濃度、シナプス活動、およびシナプス近傍の神経外環境の変化とどのように関係するのかを明らかにし、シナプスの機能維持・障害のメカニズムを解明することを目的としている。24年度は三者間シナプスの修飾を理解するためにアストロサイトと神経細胞の局所形態および局所Ca2+活動を可視化できる蛍光プローブの開発を進めた。その結果、高感度高性能な緑色蛍光Ca2+プローブG-CaMP6~8の開発に成功した。開発したG-CaMP6にアクチンを融合させたG-CaMP6-actinを作製し、マウスの海馬CA3神経細胞に発現させたところ、歯状回からの投射線維の閾値上および閾値下の刺激に対応したシナプスのCa2+活動を可視化することに成功した。また、G-CaMP7をゼブラフィッシュの視覚の中枢である視蓋に発現させたところ、餌であるゾウリムシの網膜上の像に対応した視蓋の部位の活動をリアルタイムに可視化することに成功した。さらに、赤色蛍光Ca2+プローブR-CaMP1.07を開発し、海馬神経細胞において光刺激プローブであるチャネルロドプシンと併用してCa2+可視化を容易に行えることを示した。また開発したプローブをグリアー神経共培養系に適用し、神経活動の促進による局所形態と局所Ca2+活動への影響を評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所形態および局所Ca2+活動の解析用プローブの作製が順調に進み、グリアー神経共培養系で蛍光イメージングできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでの研究実績に基づき、アストロサイト微小突起の形態やその伸縮が三者間シナプスの修飾にどのような役割を果たすのかを解析する。
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Research Products
(20 results)