2012 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化プロテオミクスに基づくリン酸化神経病態学の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
24111515
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
五十嵐 道弘 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50193173)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | リン酸化 / プロテオミクス / GAP-43 / MAP1B / プロテインキナーゼ / コンドロイチン硫酸 / 軸索再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. リン酸化抗体の作成:神経成長、及び神経変性に直結するのは微小管であるため、微小管関連分子のリン酸化抗体を、リン酸化プロテオミクスに基づいて頻度の高い者から作成を行った。このうち、MAP1Bは微小管を安定化させる因子であるが、MAP1Bのリン酸化抗体数種のうち、2種類が明確な抗原特異性を示し、組織化学的解析も可能であった。さらにそのうちの1つは、これまで報告がない部位であり、マウス成熟脳のリン酸化プロテオミクスに関するデータベースにも掲載されていないため、神経成長に特異的であることが示唆された。確かに成長期の神経繊維が強く認識された。 2. GAP-43リン酸化の解析とリン酸化酵素同定:インフォマティクスを駆使し、リン酸化の酵素を割り出した。すなわち、リン酸化部位の特性からMAPK系の酵素でのリン酸化が推定され、阻害剤と分子種局在からリン酸化酵素がjnkを主体するものであることを推定した。また末梢神経再生のみならず、報告者が作成したコンドロイチン硫酸合成酵素欠損マウスで生ずる脊髄損傷からの回復時に、当該のリン酸化が再生繊維を特異的に認識することを証明した。これによって、これらのリン酸化酵素特異抗体は、神経の成長と再生を認識できることが明らかとなった。 3. 神経細胞の形態形成に関与する遺伝子のトランスジェニックマウス(TG)作成:神経細胞の形態形成に関係することを見出したM6aの遺伝子のTG作成に、着手した。これは同タンパク質のヒトSNPがヒト精神疾患の中間表現型に関係することを見出したためである。既にヒト型遺伝子TGのF0作出をジェノタイピングによって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
軸索再生に関する研究では、コンドロイチン硫酸合成酵素の遺伝子改変マウスの脊髄損傷モデルで、既に論文投稿に到達している。一方、GAP-43のリン酸化についてもリン酸化キナーゼの同定に成功し、戦略的に大変多くのリン酸化データに適応できる方法論を確立した。新規のリン酸化抗体作成については、まだ次年度にも継続する予定であるが、作成したリン酸化抗体の意義の検討について、一定の方法論を確立したので、それに基づいて先に進めることにする。トランスジェニックマウス、リン酸化不活性化ノックインマウスの作成についても、今年度の結果については予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
試行錯誤のプロセスがあったが、24年度に大体の状況が把握できたので、今年度はリン酸化プロテオミクスによるリン酸化特異抗体の作成とその応用を効率化して研究を進める。またヒト病理組織標本への応用は、現在専門家と打ち合わせてどのような疾患に適応するのが効率的な検出につながるか、見当を進めているが、間もなく試行データの結論が出るため、25年度中に解析が進められる予定である。トランスジェニックマウスも25年度上半期に活用可能となる予定である。
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