2012 Fiscal Year Annual Research Report
パーキンソン病および関連神経変性疾患のPET酸化ストレスイメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
24111517
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
米田 誠 福井大学, 医学部, 准教授 (70270551)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 酸化ストレス / PET / パーキンソン病 / 脳機能イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
PET用核種標識化合物である62Cu-ATSMよって,ミトコンドリア呼吸鎖不全による過還元状態が惹起する活性酸素種の発生増加(酸化ストレス)を生体にて画像化することを可能にした.孤発性パーキンソン病(PD)患者において,62Cu-ATSM PETでの脳線条体での集積増加と,集積と臨床的重症度に正の相関関係を報告している.平成24年度は,PD関連疾患と筋萎縮性側索硬化症(ALS)での酸化ストレスの関与を検討した.現在までに,①多系統萎縮症(MSA)患者7名(年齢平均64.7歳,罹病期間1-11年,重症度スケールSARA平均18.9/40点)と②ALS患者10名(年齢平均64.6歳,罹病期間1-6年,重症度スケールALSFRS-R平均31.7/48点),③Parkin遺伝子変異を有する家族性PD患者1名(順天堂大学脳神経内科との共同研究)を検討した.その結果,①MSA患者群では明らかな集積増加は認められず,PD患者との差が見出された.②ALS患者群では,両側大脳皮質運動野に集積の増加傾向が認められ,酸化ストレスの関与が示唆された.また,③Parkin遺伝子変異を有する家族性PD患者では,線条体への集積を認めた. 脳神経疾患における酸化ストレスの基礎研究として,ミトコンドリア病患者の血中の酸化ストレスの検討を行った.ミトコンドリア病の原因となるミトコンドリア遺伝子A3243G変異を有する患者14名と,健常者34名に対し採血を行い,d-ROMsによる酸化ストレスと,BAPによる抗酸化力の測定を行った.その結果,d-ROMsは,健常者群に比べて患者群で有意に増加していた(P0.005).
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
62Cu-ATSM PETを用いて,神経変性疾患患者生体における脳内でのミトコンドリア傷害と酸化ストレスをPD関連疾患,ALSにおいて解析できた.さらに,Parkin遺伝子変異を有する患者において,初めて生体脳での酸化ストレスが増強していることが立証できた.また,ミトコンドリア病患者では,血中の酸化ストレスが高まっていることが検証できた.さらに,動物モデルに関しても,64Cu-ATSMを用いた脳内酸化ストレスの解析準備を整えた.
|
Strategy for Future Research Activity |
62Cu-ATSM PETを用いて,脳内でのミトコンドリア傷害と酸化ストレスを,パーキンソン病(PD),PD関連疾患(MSA-P),遺伝性PD,ALSなどの各種の神経変性疾患において検討する.さらに,PDやALSの動物モデルに関しても,64Cu-ATSMを用いた脳内酸化ストレスの解析を行ってゆく.
|
Research Products
(7 results)