2012 Fiscal Year Annual Research Report
アストログリア細胞のエンドサイトーシスの障害による神経発達障害
Publicly Offered Research
Project Area | Brain Environment |
Project/Area Number |
24111518
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 清文 名古屋大学, 医学部附属病院, 教授 (30303639)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 統合失調症 / 神経発達障害 / アストロサイト / 神経免疫 / IFITM3 / Follistatin like-1 |
Research Abstract |
統合失調症の約30%は妊娠中の母親のウィルス感染に関連があると報告されているが、周産期ウィルス感染による脳神経発達障害の分子機構は不明である。我々は、toll-like receptor 3 (TLR3) を介して自然免疫を活性化する二本鎖RNA様物質polyI:Cを生後2日目から連続5日間、新生仔マウスに投与することにより周産期擬似ウィルス感染モデルマウスを作製した。成獣となった polyI:C 処置マウスは学習記憶障害、情動行動異常および海馬グルタミン酸神経伝達の異常を示すが、clozapineやD-serineの投与により改善する。 PolyI:C処置モデルマウスの脳内遺伝子発現の網羅的解析により、統合失調症などの神経発達障害患者で増加が報告されているinterferon-induced transmembrane protein 3 (IFITM3)遺伝子の発現増加を見出した。さらに、polyI:Cモデルの神経発達障害や脳機能障害には神経-アストロサイト相互作用が関与しており、アストロサイトで誘導される IFITM3が重要な役割を果たしていることを明らかにした。 本年度は、 polyI:C処置したアストロサイトの培養液 (polyI:C-ACM)に含まれる神経発達障害活性の本体を同定するため、2D-DIGE法によるプロテオーム解析を実施し、候補分子を複数同定した。候補分子の一つであるFollistatin like-1 (Fstl1)は野生型アストロサイトのpolyI:C-ACMで増加し、 IFITM3-KOマウス由来polyI:C-ACMでは増加しなかった。PolyI:C-ACMの神経発達障害活性はアストログリア細胞を Fstl1 siRNA で処理することにより減弱した。その他、IFITM3結合タンパク質を同定するために必要な実験材料を準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中で最も重要な研究計画であるpolyI:C-ACMに含まれる神経発達障害因子の候補を複数同定した。さらに、その一つであるFstl1がpolyI:c処置によりアストロサイトで誘導・分泌されること、その機能を一部解明できたことは非常に大きな成果であり、研究は概ね順調に進展していると考えられる。また、もう一つの目標であるIFITM3の機能解明に関連して、結合分子を同定するための実験材料の準備が整ったことも成果と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に同定したpolyI:C-ACMに含まれる神経発達障害因子の機能解析を進めるとともに、IFITM3の結合タンパクの同定・機能解析も進める。また、グリア細胞にIFITM3を過剰発現する動物モデルを作製するために必要なウイルスベクターの作製を進める。さらに、研究成果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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[Journal Article] Astroglial IFITM3 mediates neuronal impairments following neonatal immune challenge in mice.2013
Author(s)
Ibi Daisuke,Nagai Taku, Nakajima Akira, Mizoguchi Hiroyuki, Kawase Takahiro, Tsuboi Daisuke, Kano Shin-ichi, Sato Yoshiaki, Hayakawa Masahiro, Lange Ulrike C., Adams David J., Surani M.Azim, Satoh Takaya, Sawa Akira, Kaibuchi Kozo, Nabeshima Toshitaka, Yamada Kiyofumi
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Journal Title
Glia
Volume: 61
Pages: 679-693
DOI
Peer Reviewed
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