2012 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化状態空間モデルによる宇宙マイクロ波背景放射前景放射分離法の研究
Publicly Offered Research
Project Area | The Physical Origin of the Universe viewed through the Cosmic Background Radiation - from Cosmological Inflation to Dark Ages - |
Project/Area Number |
24111707
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 努 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90436072)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 理論天文学 / 宇宙背景放射 / 前景放射 / 赤外銀河 / 電波銀河 / 状態空間モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
現代宇宙論はビッグバン宇宙論の骨子をほぼ確立し, ビッグバンに先行する急激な膨張期であるインフレーションの検証へと向かっている. インフレーション理論は第一原理から完全に決定することは難しく, 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の偏光のBモード成分を精密に解析することによって初めてシナリオを絞り込むことができる. しかし, 現実的には銀河系や系外銀河などのCMBの前景放射が重なるため, CMBゆらぎの抽出は極めて困難である. CMBゆらぎの観測は飛躍的進歩を遂げたが, 観測精度の向上, 特に偏光ゆらぎの精密化に伴って, CMBと前景成分を分離するための本質的に新しい統計的解析方法が必要になってきている. これが領域A04のメインテーマである。 本研究では、これまで天文学分野ではほとんど用いられていなかった自己組織化状態空間モデルという統計的方法を発展させ、Planck衛星のデータをCMBのゆらぎ、銀河系外前景放射、銀河系前景放射、ノイズの4成分に分解し、CMBゆらぎを精密に解析することで初期宇宙の情報を抽出する方法を構築する。H24年度はまずこの状態空間モデルで用いる前景放射の各成分の統計的性質を明らかにするため、独立成分分析(ICA)を用いた成分分離法を確立し、分子輝線成分、連続波成分のパワースペクトルを求めた。ここまでの成果は論文として投稿済みである。この統計的性質を仮定することで、状態空間の決定ができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
状態空間モデルを規定するための前景放射成分の統計的性質を求める研究は順調に進み、論文投稿まで進められた。このタイミングでPlanck衛星の温度マップなどのデータが公開となり、より現実的なテストに進むことができる。予定通りの進捗といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ほぼ当初念頭に置いていた通りのタイミングでPlanck衛星のデータが公開されたので、このデータを用いた成分分離、前景放射の統計モデル化を詳細に行うことができる。Planckデータを最大限に用いて統計的方法の確立を目指し、CMB以外の前景放射にも適用できる一般的なスキームを開発したい。
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Research Products
(21 results)