2012 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子産物APCが関わる上皮管腔形成機構とその破綻による癌発症機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
24112506
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 善博 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 講師 (10376642)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | APC |
Research Abstract |
癌抑制遺伝子APCの異常によるWntシグナルの恒常的活性化は、大腸癌発症の最も重要な原因の一つであると考えられている。我々は、APC結合新規蛋白質としてRac1/Cdc42特異的GEF(guanine nucleotide exchange factor)分子であるAsefを見出し、APCがAsefを活性化することで、細胞接着・細胞運動を制御していることを明らかにしてきた。また、ほとんどの大腸癌でAsefの発現が亢進していること、およびその発現亢進はNotch3経路の活性化に依存していることを明らかにしていた。今回、我々はmicroRNAの1種であるmiR-1がNotch3/Asefの上流因子として機能し、miR-1/Notch3/Asef経路は大腸癌細胞の運動能亢進に重要であることを見出した。これまでの研究によって、癌組織内では癌細胞を取り巻く血管で発現するNotch ligand(DLL4など)が、癌細胞自身のNotch 経路を活性化することで転移・浸潤能の増大を招くことが明らかにされている。我々はTranswellを用いたin vitro実験系において、血管内皮細胞のDLL4による大腸癌細胞のNotch3/Asef経路活性化が内皮下浸潤に重要であることを突き止めた。今後、癌組織内の破綻した血管構造を原因とする癌細胞のNotch3/Asef経路活性化が転移・浸潤に与える影響を追究する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めていくなかで、Asefの発現制御機構について新たに重要な知見を見出した。研究課題をより深く掘り下げるために、当初に設定した予定よりも実験を追加する必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究を継続し発展させる。
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