2012 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ管腔形成と維持におけるAspp1の役割と分子機構
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
24112513
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平島 正則 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40383757)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 管腔形成 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
リンパ管形成の初期過程では、既存の静脈を構成する内皮細胞が極性を失って遊走した後に再集合・極性化して 管腔形成し初期リンパ嚢が形成され、その後リンパ管が伸長する。これらの過程で、内皮細胞は運動能や細胞間接着能について精巧な制御を受けていると考えられるが、それらの分子機構についてほとんど明らかにされていない。我々は、内皮細胞特異的に発現する分子Aspp1がリンパ管内皮細胞の細胞運動や細胞間接着などを制御して管腔の形成と維持に寄与する可能性を見出している。本研究では、生体内における初期リンパ嚢の形成とリンパ管伸長についての解析ならびに発生過程にある内皮細胞の培養系を用いた解析で、リンパ管内皮細胞においてAspp1が果たす役割を細胞レベル・分子レベルで明らかにすることを目的とする。 マウス胎仔における初期リンパ嚢形成とリンパ管伸長が起こる胎生 9.5~12.5 日目の野生型とAspp1-/-マウス胎仔を採取して、血管およびリンパ管内皮細胞のマーカー等でホールマウント染色し、共焦点レーザー顕微鏡で三次元的に解析した。Aspp1-/-マウス胎仔において、リンパ管内皮細胞が頸部静脈で分化して遊走する過程は正常であるが、小リンパ嚢同士の融合に異常があることが明らかになった。 これまでに樹立した野生型とAspp1-/-ES細胞をOP9フィーダー細胞上で低密度培養して分化させて得られる内皮細胞を解析したところ、分化後8日目頃から野生型内皮細胞ではシート状から網状へとコロニー形態が変化するが、 Aspp1-/-内皮細胞ではシート状構造が維持される傾向が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析で、野生型と比較してAspp1-/-ES細胞に由来する内皮細胞では、シート状から網状へのコロニー変化が起こらずシート状構造が維持される傾向が明らかになった。これらの形態変化の違いに関わる細胞現象(細胞間接着能および細胞運動能)とAspp1が関与する分子経路について解析する。
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