2012 Fiscal Year Annual Research Report
類器官培養における癌浸潤モデルの構築と蛍光イメージング
Publicly Offered Research
Project Area | Regulation of polarity signaling during morphogenesis, remodeling, and breakdown of epithelial tubular structure |
Project/Area Number |
24112524
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
清川 悦子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80300929)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | がん / 浸潤 / 基質 / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元培養際した際の細胞・基質接着に関与すると報告のあるチロシンリン酸化酵素FAKの、FAT(Focal Adhesion Targeting) 配列を付加した蛍光蛋白質は、3次元培養したMDCK細胞類器官では基底膜側に局在する傾向があることを観察した。そこでFRBあるいはFKBPとの融合蛋白質として発現するシステムを用いて任意のポイントで、通常では細胞質に位置する蛍光蛋白質の局在変化をさせてみたが、成功にはいたらなかった。その理由として、FRB融合蛋白質、FKBP融合蛋白質の細胞内での発現量のバランスが重要である可能性が考えられた。 また、MDCK類器官細胞をライブでイメージングすることで、類器官の形成初期ではよく回転するが、後期では回転しなくなることを発見した。早期の類器官でも、Hepatocyte growth factor (HGF) を加えたすぐの数時間は回転が増すが、基底膜側に伸展構造あるいはチューブを形成されると、回転が止まることも見出した。また、後期類器官でも、マトリゲルから単離し新たなマトリゲルあるいはコラーゲンに埋め込むことで、再びよく回転するようになることから、類器官の回転には、インテグリンを介した細胞と基質との接着が解除されることが必要である可能性が示唆された。更に癌で見られる活性変異体Rasを発現させた場合では後期でも回転するようになることも考え合わせると、基質との接着にどのような分子が関与するのか調べることが、癌の浸潤モデル構築では重要になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内局在の洗練化は、FATという候補は見つけることが出来たが、精度が足りない。新たな研究室に移動し、3次元構造における生きた状態でのCFP-YFPペアのFRETイメージングなど、これまで所属していた研究室と同じ条件での観察が自由にできなくなった難点があるが、現行の機器でもライブイメージングを行う準備を整えることが出来た。特に、ライブイメージングを行うことで、類器官が回転するという新たな現象を見出し、また確実に再現出来たことは大きな進展であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以上を踏まえて、1.FATと、FKBPあるいはFRBとの融合蛋白質の発現量の異なる細胞株をFACSによって分取する。併せて、FATと植物ユビキチンAIDシステムの構築を進め、細胞内の分子操作の精度を上げていく。 類器官よりマイクロアレイ解析を行い、類器官の回転を制御する分子群を同定する。これは、上記の結果(接着と回転の関連)に基づくもので、同定された分子に関して蛍光蛋白質との融合蛋白質として発現させ、細胞内局在を観察する。効率よく基底膜に局在する分子群のAIDあるいはFRB-FKBPシステムを構築し、基底膜での分子操作を試みる。
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