2012 Fiscal Year Annual Research Report
両生類の受精における卵付活と多精防止の分子機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
24112712
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岩尾 康宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10144916)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 受精 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)カエル卵での電位感受性型の卵付活分子の解明 単精のツメガエルでは、精子が卵細胞膜に接着した時に卵付活に必要なCa放出シグナルを卵内へ伝える。Ca濃度の上昇により卵細胞膜上のCl-チャネルが開き、正の受精電位が生じて第二の精子の膜融合が阻止される。精子細胞膜上のマトリクスメタロプロティナーゼ-2(MMP-2)のヘモペキシンドメイン(HPX)内の正荷電をもつディスインテグリン様配列ペプチド(HPXペプチド)は、電位依存的に卵内Caイオン濃度上昇を引き起こし、卵細胞膜上のUroplakin IIIと結合できる。HPXペプチドビーズによる精子結合解析とSPR型分子間相互作用解析装置により、HPXペプチドが結合する卵細胞膜上のリセプター分子複合体を明らかにした。また、我々が以前に見つけたをUroplakin III切断でき、Caシグナルを伝えることのできる精子プロテアーゼとMMP-2との関係も明らかにできた。また、HPX内の部分アミノ酸をブロックする抗体や物質を用いて卵細胞膜との反応および電位感受性に必要な機能部分を明らかにした。 (2)イモリ精子ファクターによる新規の卵付活シグナル経路の解明 生理的多精のイモリでは精子細胞質中のクエン酸合成酵素が卵細胞質中に導入され、ゆっくりとした卵内Ca上昇を引き起こす。この卵付活にはそれぞれの精子中の酵素活性が重要であり、卵細胞質中の微小管(チューブリン)とIP3-リセプターと結合している。これは新規のCa放出シグナル経路と考えられるが、小胞体からのCa放出の直接の引き金は未解明である。免疫沈降とSPR法による分子間相互作用の解析、および機能ドメインを部分的に変異させた酵素を作成し、Ca濃度上昇と卵付活におけるこの酵素の役割を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、計画通りに「カエル卵での電位感受性型の卵付活分子の解明」では、精子上の電位感受性分子を確定でき、さらに新規の卵側のリセプター分子の一つを解明することができた。また、「イモリ精子ファクターによる新規の卵付活シグナル経路の解明」に関してもクエン酸合成酵素とチューブリンやIP3リセプターとの相互作用を明確にでき、新たなCa2+シグナル調節機構を明らかにできた。まだ、一部MMP2の遺伝子クローニングが完了しておらず、タンパク質ドメインの機能解明ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「カエル卵での電位感受性型の卵付活分子の解明」および「イモリ精子ファクターによる新規の卵付活シグナル経路の解明」の研究計画のうち、とくに卵付活分子:精子ファクター(クエン酸合成酵素)と精子MMP-2の動物と植物での分布と機能に関して引き続き解析を詳細におこなう。また、前年度の研究進行が遅れて未達成のMMP2の遺伝子クローニングを継続しておこなうとともに、その他は研究計画通りに推進する。
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Research Products
(15 results)