2012 Fiscal Year Annual Research Report
ゼニゴケ精子特異的膜タンパク質の受精における役割
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of Common Mechanisms for Allogeneic Authentication in Animals and Plants |
Project/Area Number |
24112715
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
大和 勝幸 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (50293915)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 膜タンパク質 / RNA-seq / プロタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのトランスクリプトーム解析により,約4,000の雄器床特異的配列が得られている。その中より膜タンパク質をコードすると期待されるものを抽出した。これらのうち,plasma membrane Ca2+-transporting ATPase遺伝子(MpPMCA)の解析を行ったところ,MpPMCA転写産物がオルタナティブ・スプライシングを受け,雄器床特異的なスプライシング・バリアントのみがPMCA全長をコードしていることが明らかになった。MpPMCAは雄器床のみで機能していると予測されたが,MpPMCAプロモーターでGUSを発現させたところ,雄器床辺縁部での発現は検出されたものの,造精器あるいは精子での発現は見られなかった。従って,MpPMCA遺伝子は精子そのものでは機能していないと考えられる。 上記の雄器床特異的配列に,塩基性アミノ酸に富むプロタミン様タンパク質をコードする遺伝子MpPRMが見いだされた。一般に,プロタミンは精子においてヒストンの代わりにDNAに結合している。MpPRM遺伝子に蛍光タンパク質citrine遺伝子を融合させて発現させたところ,造精器特異的な発現が見られた。さらに,精子そのものにおいても強い蛍光が観察された。コケ植物やシダ植物において,これまで造卵器内侵入後の精子の挙動を追跡することは難しかったが,今回作成したMpPRM:citrine発現精子を用いることで観察が容易になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発現・機能解析用のコンストラクトの作成に予想以上に時間がかかっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
JGIおよび基礎生物学研究所との共同研究により,ゲノムデータがさらに充実しつつある。今後,比較ゲノム解析および精子プロテオーム解析と合わせて精子膜タンパク質を探索し,その機能を明らかにしていく。なお, K+ transporterなどの他に見つかっている精子特異的膜タンパク質候補遺伝子については現在解析を行っている。
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