2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウスにおける母仔遺伝的コンフリクト回避機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
24113516
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡崎 拓 徳島大学, 疾患プロテオゲノム研究センター, 教授 (00362468)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゲノム / 免疫学 / 免疫寛容 / モデル動物 / 免疫補助受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
母児免疫寛容は免疫学者にとって大きな謎であり、古くから議論や研究の対象とされてきたが、その原理は依然未解明である。また、ヒトにおいても、流産や不育症の原因として免疫の関与が疑われているが、その詳細は不明である。通常、異なる系統のマウスを交配しても胎仔が拒絶されることは無いが、DBA/2系統のオスとCBA系統のメスを交配した際には約30%の胎仔が拒絶されることが知られている。しかし、主要組織適合性抗原が関与しないこと以外は、その遺伝要因は全く不明である。本研究では、母仔免疫寛容における免疫抑制受容体PD-1とLAG-3の機能を解析するとともに、両遺伝子の欠損マウスを利用して、より高頻度に胎仔拒絶を起こすモデルを作製することを目的とする。また、作製したモデルを用いて連鎖解析を行い、母仔免疫拒絶に連鎖を示す染色体領域を同定することにより、ごく限られた系統間においてのみ認められる母仔間の遺伝的コンフクリトにかかわる遺伝要因を解明することを目的とする。 約30%の胎仔に拒絶が確認される(DBA/2♂x CBA♀)F1の系において、抗PD-1抗体、抗LAG-3抗体を単独あるいは同時に投与したが、拒絶の頻度に大きな影響は観察されなかった。抗体投与では、投与のタイミングにより効果が発揮されなかった可能性が考えられるため、今後は戻し交配により作製を試みているCBA-PD-1欠損マウス、CBA-LAG-3欠損マウス及びCBA-PD-1・LAG-3二重欠損マウスのメスにDBA/2マウスのオスを交配して拒絶の頻度及び時期を評価する予定である。また、抗体無投与群における胎仔拒絶の割合が、これまでの報告に比べて低かった。マウスの微生物環境により胎仔拒絶の割合が変化するという報告があるため、その可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(DBA/2♂x CBA♀)F1マウスの母仔免疫拒絶における抗PD-1抗体の影響については、これまでに相反する結果が報告されていたが、これまでに使用されている量とタイミングでは、ほぼ影響が無いという結果が得られた。マウスの飼育環境や試薬の夾雑物により、その効果が影響を受けていた可能性が示唆され、今後の方針決定に役立った。マウスの1世代は2~3ヶ月であり、戻し交配には時間を要するが、順調に世代を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
戻し交配により作製を試みているCBA-PD-1欠損マウス、CBA-LAG-3欠損マウス及びCBA-PD-1・LAG-3二重欠損マウスのメスにDBA/2マウスのオスを交配して拒絶の頻度及び時期を評価する。また、TLRリガンド投与等により、特定の感染免疫応答を人為的に誘導し、微生物環境が胎仔拒絶に与える影響を検討する。系統特異性を有したまま高頻度に胎仔を拒絶するモデルが作製できれば、連鎖解析を行い、母仔免疫拒絶に関与する遺伝子座を同定する。
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Research Products
(7 results)