2012 Fiscal Year Annual Research Report
新しいゲノム遺伝子相関を創出する脊椎動物特有の遠位エンハンサーによる進化
Publicly Offered Research
Project Area | Correlative gene system: establishing next-generation genetics |
Project/Area Number |
24113520
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
隅山 健太 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (00370114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シス制御配列 / 進化発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) Dlx3/4遺伝子発現制御cis-elementのほ乳類における進化 動物のボディプランの進化において発生制御遺伝子の発現パターンが時間・空間的に変化することが重要な役割を持つが、これはエンハンサーが進化し新しいゲノム・遺伝子相関が生み出されることで起きる。ほ乳類特有の頭顔面形態に関与すると考えられるDlx3/4遺伝子の真獣類共通に保存している鰓弓特異的エンハンサーは、外群の鳥類・は虫類・両生類などには存在しない新しいエンハンサーである。カモノハシ、オポッサムの解析を行うことで進化の中間的な配列を同定し機能解析することができた。このエレメントが成立する進化過程には、Dlx遺伝子の発現と維持に必須のDlx結合配列がコアモチーフとして重要な役割を果たしていることが示された。以上の研究成果はJournal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution 318(8), 639-650. (2012)に発表した。 (2) ゲノム重複によって生じたパラログ遺伝子Gsx1,Gsx2の転写制御におけるゲノム・遺伝子相関 前脳の形成に決定的に重要な役割をするパラログ遺伝子Gsx1,Gsx2は、配列相同性があり似た組織特異性を持つエンハンサーによって制御され、さらに相互に転写を抑制制御することで相互補償的な発現を実現していると考えられるがその具体的なメカニズムは未だ不明である。Gsx1遺伝子の上流域に脊椎動物共通に保存し、複数のGsx結合配列を持つ可能性が高いcis-element候補配列を発見した。今後はこの配列がGsx依存的に抑制的な効果を持つかどうか機能的な解析を進め、進化的に新しく生じた相互制御関係を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Dlx遺伝子の発現制御のゲノム遺伝子相関については、順調に実験が進み、成果の一部を原著論文として発表することができた。また、Gsx遺伝子発現制御のゲノム遺伝子相関に関して、トランスジェニックマウス実験による遺伝子発現制御関係を証明するために必要な一連のコンストラクトを現在作成中であり、ほぼ終わりつつある。また作製したコンストラクトを順次トランスジェニックマウス作製実験に使用しており、現在までに複数のマウス系統を樹立した。現在F1の解析中であるが、機能中心となるモチーフの重要性を示すデータが示されつつあり、今後の展開に期待が持てる。
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Strategy for Future Research Activity |
Gsx遺伝子発現制御のゲノム遺伝子相関に関して、トランスジェニックマウス実験による遺伝子発現制御関係を証明するために必要な一連のコンストラクトが準備できているので、今後はマウス作製実験に注力し、目標の10系統のマウス系統を樹立を目指す。また、エンハンサー活性でなく、サイレンサー活性が重要であるという知見が得られているため、サイレンサー活性を証明するための新たなコンストラクトを現在デザイン中である。このコンストラクトの完成と実験(3系統のマウス樹立)を目指す。得られたデータを基に一般的なケースに拡張したシミュレーションを行う予定である。
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