2012 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミンリッチ型転写活性化ドメインの相互作用解析
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
24113708
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 大 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (70304053)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 天然変性蛋白質 / 相互作用解析 / 転写因子 / グルタミンリッチドメイン / Sp1 / TAF4 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の転写因子 Sp1 と TAF4 は、ともに転写活性化ドメインとしてグルタミン残基を多く含むグルタミンリッチドメイン(Qドメイン)をもつ。これまでに行われた生化学的な研究から、両タンパク質は互いのQドメインを介して相互作用すると考えられている。しかしながら構造生物学的な研究はほとんどなされておらず、Q ドメインの構造や相互作用の分子機構は未解明のままである。本研究では、Sp1 に2つ存在するQドメイン (QA, QB) と TAF4 のQドメインとの相互作用を、CD, NMR, SPR を用いて解析した。その結果、QA ドメインと TAF4 との間に有意な相互作用は観察されなかった。その一方で、QB ドメインは TAF4 のQドメインと比較的強く (KD ~ μM) 相互作用する事が NMR ならびに SPR の解析により明らかとなった。さらに興味深い事に、QB ならびに TAF4 はともに生理学的条件下において特定の立体構造をもたない天然変性蛋白質であること、また両者の相互作用は大幅な立体構造変化を伴わず、特定の立体構造をもたないまま相互作用している事が CD スペクトルの解析により明らかとなった。一般に天然変性蛋白質がそのリガンドと総合作用する際には何らかの構造変化を伴うことが知られている。本研究で見いだされた Sp1 と TAF4 との相互作用は、従来までに知られている Induced fit 機構とも異なる、新しい種類の相互作用様式であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Sp1 との相互作用に重要な TAF4 の 270-700 残基めまでの遺伝子を合成し、大腸菌による大量発現系の構築に成功した。更に、QA, QB との相互作用解析も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、TAF4 の部分ペプチドを作製し、多次元NMRを用いてピークの帰属を行っている。引き続きNMRスペクトルの解析を進め、TAF4 のどの部位が QB との相互作用に重要であるのかを明らかにする。
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