2012 Fiscal Year Annual Research Report
個体恒常性を制御する天然変性タンパク質ナルディライジンの機能解明
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
24113713
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 義範 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60397552)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 天然変性タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はこれまでにメタロエンドペプチダーゼnardilysin(NRDc)が、細胞内局在に依存した多機能性(細胞外:シェディング増強、核内:転写調節)を有することを明らかにしてきた。この多機能性が成長障害や行動異常など、多岐にわたるNRDc欠損マウス(NRDc-/-)の表現型発現の原因になっていると推測される。 NRDcはM16ファミリーに属するが、他のメンバーと比較して際だつ特徴は、そのプロテアーゼドメイン(M16ドメイン)に高度酸性ドメインが挿入されていることであり、同領域は典型的な天然変性(ID)領域と考えられる。既報の多くのNRDc結合タンパク質の多くがID領域に結合することから、NRDcの機能発現にID領域が重要な働きをしていることが示唆された。したがって、本研究では、『NRDcがID領域を介して、状況依存性に多種多様なタンパク質と結合し、多機能性を発揮している』という作業仮説の実証を目的とする。 NRDcのID領域の機能解明に向け、1) in vitroでのNRDcのID領域の機能解明、2) in vivoでのNRDcのID領域の機能解明、3)NRDcと標的タンパク質複合体の結晶構造解析、の3つを具体的な目的とし、本年度は目的1を中心に研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、NRDcのID領域の機能解明に向け、目的1) in vitroでのNRDcのID領域の機能解明、を中心に研究を行った。 ①ID領域のNRDc細胞内局在における意義の解明;NRDc-/-由来のマウス胎仔線維芽細胞(MEF)に、野生型およびID領域を欠失した変異型NRDc(NRDc-⊿ID)を再導入し、その細胞内局在を検討したところ、細胞内局在はID領域に依存しないことが分かった。 ②シェディング活性化におけるID領域の意義の検討;COS7細胞にNRDc-⊿IDを発現し、シェディングアッセイを行ったところ、野生型NRDcに比べてNRDc-⊿IDではシェディングが減弱する傾向が見られたものの、明確な結論を出すには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
目的1) in vitroでのNRDcのID領域の機能解明、の継続実験として、③転写制御機能におけるID領域の意義の検討を行う。 目的1)の結果を踏まえたうえで、目的2) in vivoでのNRDcのID領域の機能解明、に向け、NRDc-⊿IDノックインマウスのターゲティングベクターの作製を行う。 目的3)NRDcと標的タンパク質複合体の結晶構造解析:これまでNRDcの結晶化に成功していないが、NRDc結合タンパク質と結合することで特定の立体構造が誘起されている可能性があるため、これらとNRDcの複合体の結晶構造解析に取り組む。 一方、NRDc自身の酵素としての働き、すなわち、NRDcの酵素活性の重要性を明らかにするため、酵素活性のないNRDc(NRDc-EtoA)のNRDc欠損細胞への再導入系、NRDc-EtoAノックインマウスなどを用いてin vitro、in vivoで検証を行う。
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Research Products
(2 results)