2012 Fiscal Year Annual Research Report
DNAメチル化制御因子の構造形成を介したヒストン認識及びDNA脱メチル化保護機構
Publicly Offered Research
Project Area | Target recognition and expression mechanism of intrinsically disordered protein |
Project/Area Number |
24113719
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中村 照也 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (40433015)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 天然変性タンパク質 / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の初期発生において,生殖細胞のゲノム全体は高度なメチル化を受けており,受精後から始まるゲノムの脱メチル化の制御は,正常な個体発生に必須であると考えられている.PGC7は,ヒストンH3のメチル化リジンへの結合を介して雌性ゲノムを脱メチル化から保護するタンパク質であり,さらに最近ではPGC7の機能に重要と考えられる新たな相互作用因子が見出された.PGC7はアミノ酸配列からは天然変性タンパク質であることが示されていることから,その機能は,ターゲット分子との結合を介して一定の立体構造を形成することで誘起されると考えられる.本研究では,PGC7とメチル化リジンおよび新規相互作用因子との複合体のX線結晶構造解析を行い,天然変性タンパク質であるPGC7がそれぞれのターゲット分子依存的な立体構造形成を介して,どのように機能発現するかを構造生物学的に明らかにする. 本年度は,PGC7の発現,精製,結晶化を行った.全長PGC7の発現は,大腸菌を用いた系で検討し,発現が最も良好であったコンストラクトを用いて大量調製を行った.精製は種々のカラムを用いて,結晶化実験に適した高純度タンパク質を得た.精製したPGC7とメチル化リジンペプチドとの複合体について微量結晶化装置を用いて広範な結晶化スクリーニングを行った.現在のところ結晶は得られておらず,さらなる結晶化条件のスクリーニングを進めている.また,PGC7の機能に重要と考えられる新たな相互作用因子とPGC7との相互作用領域を明らかにするため、相互作用因子のドメイン構造を参考に3つの領域に分け,それぞれについてGSTを付加させたコンストラクトを作製した.今後は,これら試料を用いて,相互作用領域を決定し,PGC7との複合体でのX 線結晶構造解析を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PGC7のX線結晶構造解析については,PGC7の発現,精製を行い,結晶化まで実施した.また,PGC7と新規相互作用因子との複合体構造解析に向け,新規相互作用因子の3つの領域についてGSTを付加させた発現コンストラクトを作製し,PGC7との相互作用領域の解明を進めている.以上より,おおむね順調に研究は進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,PGC7のX線結晶構造解析を行う.全長PGC7の精製を進める過程で,多量体形成が起こりやすいことが明らかになったため,発現領域の異なる幾つかの鎖長のPGC7を用いて結晶化を行い,構造解析を進める.さらに,昨年度調製した発現コンストラクトを用いて新規相互作用因子を精製する.GSTプルダウンアッセイなどにより,PGC7との結合領域を決定し,その情報を基にPGC7と新規相互作用因子複合体の構造解析を進めていく.
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Research Products
(6 results)