2012 Fiscal Year Annual Research Report
セントロメアと微小管の位置関係による染色体分配制御機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
24114502
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 耕三 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (00304452)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 染色体分配 / 微小管 / セントロメア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、染色体分配の過程を微小管とセントロメアの位置関係の変化という新たな視点からとらえ、セントロメアによる染色体分配制御機構を再構築することを目的とする。分裂期に染色体が微小管と結合する際には、微小管がセントロメアに対して垂直に位置する場合(垂直結合)と平行に位置する場合(平行結合)がある。そこでこの2種類の結合の使い分けにより、どのように染色体分配が制御されているのかを明らかにする。平成24年度には、平行結合を垂直結合と識別する手法を確立し、平行結合に関与する分子を同定することを計画した。 1.平行結合を垂直結合と識別する手法の確立:多数の微小管が密集している紡錘体上で、垂直結合と平行結合を識別するには困難が伴う。しかし核膜崩壊から染色体整列に至る過程をいくつかの段階に分けると、最初はほとんどの結合が平行結合であり、段階を経る毎に垂直結合の割合が増加することがわかった。そこで各段階毎にキネトコア分子の局在やキネトコア間にかかる張力を測定し、垂直結合と平行結合の特徴を明らかにした。 2.平行結合に関与する分子の同定:垂直結合に重要な役割を果たしているNdc80複合体の構成分子をノックダウンすることにより、平行結合の割合をふやした細胞のキネトコアに局在する分子を同定した。またこれらの分子をNdc80複合体の構成分子と共にノックダウンし、微小管との結合が完全に失われるかどうかを検討した。 3.平行結合のメカニズムの解明:1.,2.の検討により、モーター分子であるダイニンがキネトコアに局在するのに必要なSpindlyをはじめ、平行結合に関与する可能性のある分子が同定された。これらの分子を異所性に染色体腕部に局在させたところ、微小管側面での結合が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生理的な条件下で、染色体整列の過程を段階的にとらえることにより、平行結合と垂直結合の特徴を明らかにすることができた。また平行結合に関与する可能性のある分子を同定し、実際に微小管側面に結合することができることを明らかにした。以上より、平成24年度の計画はほぼ遂行されており、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に同定された平行結合に関与する分子についてさらに解析を進め、これらの分子をノックダウンした細胞のライブセルイメージングにより、どのように染色体整列に関与しているのかを検討する。画像処理・画像解析のために解析ワークステーションを導入する。またこの解析においてはセントロメアのトラッキングを行い、染色体整列の異常を分類して、機能的に相関する分子を同定する。このような解析を通じて、平行結合から垂直結合への変換の機構を明らかにする。さらに平行結合の成立や、平行結合から垂直結合への変換に関与する分子をノックダウンした細胞における染色体不安定性について、ライブセルイメージングやFISH(fluorescence in situ hybridization)を用いて検討する。
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Research Products
(9 results)