2012 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂特異的コヒーシン複合体による相同染色体の構造変換と対合に関する解析
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
24114503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石黒 啓一郎 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30508114)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 染色体分配 / 生殖細胞 / 細胞分裂 / 染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
コヒーシンサブユニットRad21L は、精原細胞および胎生期卵原細胞の減数分裂前期においてAxial element に局在することが判明している。この局在はRec8型コヒーシンと相互排他的なパターンを示していることが判明した。これらの結果から、減数分裂の前期に見られるRad21L型およびRec8型コヒーシンの相互排他的な局在パターンがバーコードの様に作用して、相同染色体のpairingに関与しているのではないかと推測された。RAD21L,REC8,Sun1, Scp3, Spo11欠損マウスを用いた相同染色体のペアリングへの寄与についてFISH 法を用いて検討を行った。その結果、Rad21LがDSB非依存のペアリング機構に関与していることが判明した。RAD21Lを欠損させるとbouquet構造とよばれる染色体配置が蓄積されることから、Rad21Lが相同染色体のペアリングに大きな寄与を果たしていることが示唆された。一方、REC8を欠損させても相同染色体のペアリングへの影響は少なく、REC8は相同組換えのhomolog間へのバイアスに寄与していることが示唆された。RAD21L/Spo11および REC8/Spo11二重欠損マウスを用いた解析からRad21LがDSBに依存して姉妹染色体の接着を果たしていることが示唆された。シナプトネマ複合体の形成過程について電子顕微鏡による解析を行った。その結果、それぞれのコヒーシンの欠損により、Axial Element構造および相同染色体の対合に部分的な異常が見られることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異マウスを用いた減数分裂初期のAxial Element構造および相同染色体のペアリングついて比較解析を遂行することができた。その結果、それぞれのコヒーシンの欠損により、Axial Element構造および相同染色体の対合に異常が見られることが明らかとなった。このことは電子顕微鏡の解析からも明らかとなった。さらにSun1, Scp3, Spo11欠損マウスやRAD21Lまたは REC8 とSpo11二重欠損マウスを用いた総合的な解析からDSB非依存のペアリング機構が見出された。当初の計画通りの成果を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Rad21L型コヒーシンはもうひとつの減数分裂特異的Rec8 型コヒーシンと局在パターンやクロマチンへの結合のタイミングにおいて相違が見られるので、ゲノム上の局在位置を同定するためChip-seq法を用いた解析が必要である。予備的な実験結果から、精巣中には様々なステージの細胞があり不均一であることが解析を困難にしていることが判明したため、これに対応することが検討課題となった。
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Research Products
(4 results)