2012 Fiscal Year Annual Research Report
SMC複合体による姉妹染色分体の構造変換制御
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
24114517
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
広田 亨 公益財団法人がん研究会, がん研究所・実験病理部, 部長 (50421368)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 染色体構築 / 姉妹染色分体 / コヒーシン / カテネーション / 染色体凝縮 / コンデンシン / SMC複合体 / M期キナーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SMC複合体のはたらきを機軸として、M期染色体の構築に向けてコヒージョンの解除がどのように制御されているのかを明らかにすることを目的とする。コヒージョンは、SMC1/3を含むコヒーシン複合体による「束ね」効果と、カテネーションというDNA複製の際に生じる「絡み」効果によって成立している。従って、M期染色体の構築にあたっては、コヒーシンを外すこととカテネーションの解除の両方が必要であるが、これらの制御については未だ不明な部分が多く残る。本年度は、先ず分裂期特異的なリン酸化修飾によりコヒーシンを解離する機能が亢進される可能性について検討した。その結果、コヒーシンの解離は、特定のリン酸化修飾のみによって引き起こされるものではないことが示唆された。そこで、別の切り口から姉妹染色分体分離のメカニズムを解明すべく、姉妹染色分体の分離を定量的に解析する実験系の開発を進めた。なかでもEdUとBrdUを用いて姉妹染色分体をそれぞれ別々の蛍光色素で染め分け、三次元画像解析ソフトによる解析で姉妹染色分体の分離の程度を数値化する方法が成功した。この実験系を用いることによって、従来の見解とは異なり、姉妹染色分体は前期のあいだにその大部分の分離が進行することが明らかとなった。また、Topoisomerase II-alpha (Topo 2)のM期セントロメアへの集積はSMC5/6複合体に依存していることを見出した。SMC5/6複合体は、Topo 2と協調して、姉妹染色分体間のカテネーション解除を促進している可能性が浮上している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コヒーシン解除の制御については、当初の予測に反してリン酸化修飾の役割を明確にすることができなかった。しかし、姉妹染色分体の分染法を確立したことによって、姉妹染色分体間の結合(コヒージョン)の解除を定量的に測定できるようになったことは、今後の研究で大いに活用されると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
カテネーション解除の制御については、SMC5/6複合体がカテネーションを解くTopoisomerase II-alpha (Topo2)の制御に関わるという知見に基づいてさらに追究する。さらにコヒージョンの大部分が前期において解除されるというデータから、Topo2とcondensin IIの関連性を検討し、そのメカニズムに迫りたい。
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