2012 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子ATF-7を介した、ストレスによるテロメアの長さの変化と老化の促進
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
24114518
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
前川 利男 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 基幹研究所研究員 (90201764)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ストレス / ATF-7 / テロメア / ku70 / ku80 / TERT |
Outline of Annual Research Achievements |
ストレスで活性化される転写因子ATF-2は本来CREと呼ばれる5'-TGACGTCA-3’配列に特異的に結合して転写を調節している。 ATF-7が転写抑制因子として働く理由を明らかにするために、ヒトのHeLa細胞からATF-7複合体を精製して、結合している蛋白質をMAS解析で調べた。その結果、ATF-7がku70やku80と複合体を形成していることが明らかになった。ku70/ku80はDNAの二重鎖が切断されたときに働く修復酵素及びテロメアの長さの調節因子として知られている。そこで、ATF-7がku70/ku80と複合体を形成している生物学的な意義を調べた。その結果、ATF-7はku70/ku80及びテロメラーゼの酵素活性を持つサブユニットTERTと複合体を形成してテロメアに結合していることが明らかになった。テロメアに結合している意義を検討した結果、ATF-7をノックアウトしたMEFではテロメアの長さが短くなって老化が進行することが分かった。また、HeLa細胞でsiRNAを用いてATF-7をノックダウンした結果でもテロメアの長さが短く成ることが観察された。以上の結果から、ATF-7はテロメアに結合して、テロメアの長さの維持に貢献していることが分かった。 ストレスとの関係を調べた結果、ストレスによってATF-7がリン酸化されるとku70/ku80との結合が解消して、ATF-7がテロメアから外れ、TERTをテロメアにリクルートできなくなり、テロメアの長さが短くなることが分った。 ATF-7はヒストンH3K9のトリメチル化を導入することによってヘテロクロマチン形成を促進することが分かっている。そこで、H3K9のトリメチル化の割合を測定した結果、ストレス刺激でリン酸化されてATF-7がテロメアから外れるとヒストンH3K9のトリメチル化の割合が低下することが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATF-7がku70とku80及びTERTと複合体を形成していることが、2ステップco-ipで確認できた。 また、in vitroとin vivoの両方の系でストレスによるテロメアの長さの短縮が証明できた。 現在のところ本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまではストレス刺激にUV照射を主に使っていたが、自然な条件でUV刺激を受ける細胞は少ないので、今後はTNFaによる刺激を主にしたい。 ストレス刺激によってATF-7とku70及びku80との結合は解消されることが分かったが、これからはTERTとの結合がどう変化するのかを調べたい。 また、ATF-7のリン酸化部位の変異体を用いて、ku70とku80及びTERTとの結合の変化をしらべ、ATF-7のリン酸化の意義を明らかにしたい。
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Research Products
(5 results)