2012 Fiscal Year Annual Research Report
光機能性プローブを用いた生体分子の小数活性化
Publicly Offered Research
Project Area | Spying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes- |
Project/Area Number |
24115513
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水上 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30420433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 蛋白質ラベル化 / 光活性化 / ケージド化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、活性のある蛋白質の数を人為的に制御するシステムを開発する。そのために、これまで我々が開発してきた蛋白質を機能性化合物で特異的に修飾する「蛋白質ラベル化技術」に着目した。まず、細胞内の異なる二つの蛋白質を二種類のタグ蛋白質と各々融合し、それぞれのタグ蛋白質同士を連結可能な機能性リンカー化合物を設計し、合成を行った。タグ蛋白質としては、我々がこれまでラベル化プローブ開発を行ってきたβラクタマーゼ変異体であるBL-tagと、市販のタグ蛋白質であるHaloTag、SNAP-tagを選択した。これらのタグ蛋白質を強制発現した生細胞に、合成したタグ連結リンカー化合物を添加したところ、細胞内において異なるタグ蛋白質同士を連結できることをウェスタンブロットにより示した。 続いて、蛋白質ラベル化の光制御に取り組んだ。BL-tagに選択的に結合するβ-ラクタム化合物のラベル化能を光で制御するために、タグ蛋白質のリガンド認識において重要とされる官能基の修飾によるラベル化効率の変化を検討した。アンピシリンを幾つかの光感受性保護基(ケージング基)で修飾したところ、そのうちの一つの化合物において著しくラベル化反応が抑制された。また、この分子にUV光を照射することによって、そのラベル化能は元のアンピシリンと同程度まで回復し、光照射によって、蛋白質ラベル化を制御できることを示した。さらに、この光感受性アンピシリン誘導体を有するリンカー化合物を設計し、光応答性蛋白質連結リンカーの合成を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であった、「蛋白質を1対1で連結するリンカー」、および「光に応答して蛋白質ラベル化を制御するシステム」の開発を達成した。更なる応用である蛍光顕微鏡下で光照射を行い、蛋白質の動きを制御するシステムの開発には至っておらず、達成度は「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した光感受性リンカー化合物を用いて、生きた細胞の蛋白質の局在や機能を制御するシステムを開発する。光を照射する顕微鏡システムとしては、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡の利用を考えている。その為に、光照射系を含む光学系のセットアップも随時行う。また、研究の進捗状況を鑑みて、異種タンパク質の連結だけでなく、同種タンパク質のダイマー化やオリゴマー化の光誘導も検討する予定である。さらに照射する光量の制御により、活性化する蛋白質の数を厳密に制御可能なシステムへと繋げる。
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