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2012 Fiscal Year Annual Research Report

リン酸結合蛋白の微小溶液チャンバーによる、少数個蛋白質からのリン酸検出系の構築

Publicly Offered Research

Project AreaSpying minority in biological phenomena -Toward bridging dynamics between individual and ensemble processes-
Project/Area Number 24115517
Research InstitutionGakushuin University

Principal Investigator

政池 知子  学習院大学, 理学部, 助教 (60406882)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2014-03-31
Keywordsリン酸結合蛋白 / 微小チャンバー
Outline of Annual Research Achievements

細胞内にはPiが関与する化学反応を触媒する蛋白質が多数存在する。ATP加水分解の自由エネルギーを利用して運動するモーター蛋白質などもその例である。これらの蛋白質が細胞内において少数個で高濃度を実現して働くときの分子協同性や分子個性、エルゴード性を明らかにしたいと考えた。そこで、超微小チャンバーとリン酸結合蛋白を使って通常の 1分子観察では可視化することが困難なPiの個数測定を目的とした。
PDMS樹脂でできた容積64フェムトリットルのチャンバーアレイに極低濃度まで希釈した回転分子モーターF1-ATPaseを封入すると、1個の蛋白が閉じ込められたチャンバーがところどころにできる。このチャンバーにおけるATPase反応の進行を蛍光顕微鏡で観察した。既知濃度のPiを用いて測定したチャンバーの蛍光強度を基準としてPi生成速度を見積もると、F1-ATPaseのATPase活性と同程度であった。この事から、この実験系の有用性が示された。また、チャンバー内のガラス表面に固定された蛍光標識蛋白質1分子の段階退色から会合数を決定する実験も行い、サブユニット会合数とPi生成の関係を調べる実験系の検討も行った。今後はチャンバー体積を小さくするか、微小体積を作る別の技術も応用し、Piの検出限界を下げて究極的には1個のリン酸の生成を実時間で検出できる実験系の構築を目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

これまで、少数個のリン酸を検出し個数を数えるための実験系の改良を行ってきた。まずリン酸結合蛋白については、標識する蛍光分子をクマリンからローダミンに変え、蛍光強度増加率が大きくなるようにした。また、蛍光標識後のリン酸結合蛋白のカラム精製法に注意を払い、蛍光標識率を上げることにも成功した。このようにして、リン酸に対してシグナルが高く検出される蛋白質を作成した。
次に、このようにして作成した蛍光標識リン酸結合蛋白を微小体積のチャンバーに閉じ込めるシステムの構築を試みた。64フェムトリットルのPDMSでできたチャンバーに上記蛋白を閉じ込め、F1-ATPaseがATPを加水分解して放出するリン酸濃度の増加を実時間で検出する事に成功した。チャンバー間で溶液に漏れがないように、チャンバーをガラス面に抑える方法を検討し、漏れを調べる実験も確立した。蛍光強度が増加したチャンバーの特定の穴にレーザーを照射し、退色させたあとの蛍光の回復が無いことから隣のウェルからの漏れ込みがないことを確かめることができた。また、リン酸の定量のために既知濃度のリン酸をチャンバーに閉じ込め、蛍光強度からキャリブレーションを行う方法を確立した。
最後に、マイクロチャンバーに閉じ込めた1分子のイメージングにも着手した。ガラス基板上に蛍光標識した蛋白質をまばらに固定し、チャンバー内に閉じ込めたガラス基板上の蛋白の会合数を決定することが可能になった。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究を推進する方向性として、実験系のブラッシュアップと少数性の生物学的問題への応用があげられる。
実験系のブラッシュアップについては、ますチャンバーの体積を下げるのが目標である。チャンバーの体積を数フェムトリットルにすることで、検出するリン酸の個数を数えられる程度の個数まで下げることができると考えられる。ただし、チャンバーの体積が小さくなることでPDMSチャンバーへの吸着の影響が大きくなることが考えられるため、場合によってはマイクロチャンバーだけでなく、油の中に水滴を閉じ込める方法を検討する必要が生じる可能性もある。また、チャンバー内1分子の観察に関しては、PDMSの屈折率が水と異なるため全反射照明が実現しないという可能性があるため、チャンバーの材質を変える方法の検討も必要となるであろう。
少数個特有の生物学的問題への応用については、まずはF1-ATPaseについてリン酸の解離を実時間で検出することが今後の目標である。また、領域会議等で共同研究の計画が進み、蛋白質やその集合体からのリン酸の解離を実時間で検出しようとする試みが進展する可能性がある。
このように、本研究は実験系の構築とアプリケーションという両面において推進が見込まれる。

  • Research Products

    (8 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 2 results) Book (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 回転分子モーター蛋白質F1-ATPaseの化学・力学反応をつなぐ構造変化の観察2012

    • Author(s)
      政池知子
    • Journal Title

      日本生理学雑誌

      Volume: 74 Pages: 158-159

  • [Journal Article] ATP加水分解蛋白質の映画撮影2012

    • Author(s)
      政池知子
    • Journal Title

      日本生物物理学会誌

      Volume: 52 Pages: 108-109

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 光学顕微鏡により明らかにするモーター蛋白とその集合体の動き2013

    • Author(s)
      政池知子
    • Organizer
      日本物理学会
    • Place of Presentation
      広島大学
    • Year and Date
      2013-03-26
  • [Presentation] 蛍光分子や粒子をプローブとした顕微鏡観察により明らかにする蛋白質機能2012

    • Author(s)
      政池知子
    • Organizer
      日本生物物理学会北海道支部講演会
    • Place of Presentation
      旭川医科大学
    • Year and Date
      2012-11-29
    • Invited
  • [Presentation] Behaviours of biological components in a minority revealed under the optical microscope2012

    • Author(s)
      政池知子
    • Organizer
      少数性生物学第1回国際会議
    • Place of Presentation
      Academia Sinica Taiwan
    • Year and Date
      2012-10-16 – 2012-10-19
    • Invited
  • [Presentation] Motions in F1-ATPase and ciliary axonemes that drive functions2012

    • Author(s)
      政池知子
    • Organizer
      日本生物物理学会年会
    • Place of Presentation
      名古屋大学
    • Year and Date
      2012-09-22 – 2012-09-24
  • [Book] 蛍光偏光イメージング 発光の辞典2012

    • Author(s)
      西坂崇之
    • Total Pages
      2
    • Publisher
      朝倉書店
  • [Remarks] 小数性生物学ニュースレターNo.2

    • URL

      http://paradigm-innovation.jp/doc/newsletter/NL02web.pdf

URL: 

Published: 2018-02-02  

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