2012 Fiscal Year Annual Research Report
インプリント長鎖非コードRNAの核内動態とクロマチンダイナミクスの解析
Publicly Offered Research
Project Area | Functional machinery for non-coding RNAs |
Project/Area Number |
24115708
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堀家 慎一 金沢大学, 学際科学実験センター, 准教授 (40448311)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 長鎖非コードRNA / ゲノムインプリンティング / クロマチン / 染色体テリトリー / ヒト染色体工学 / 核マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
15q11-q13のゲノム刷り込み領域には,ヒトで600kb,マウスではおよそ1Mbにもおよぶ父性発現の長鎖非コードRNA (UBE3A-ATS)が存在し,下流のUBE3A遺伝子の発現を負に制御している。しかし,その作用機序は不明である。これまでの研究において長鎖非コードRNA UBE3A-ATSの核内局在を明らかにしたとともに,ヒト染色体改変システムを用いて,長鎖非コードRNA UBE3A-ATSのノックアウトを行った。その結果,長鎖非コードRNA UBE3A-ATS が父方アレル特異的な脱凝集したクロマチンに沿うように局在していることを明らかにした。さらに,UBE3A-ATSが15q11-q13染色体領域のクロマチン構造に及ぼす影響について検討したところ,父方アレル特異的なクロマチン脱凝集の形成に長鎖非コードRNAの転写が必要ないことが明らかとなった。そこで,平成24年度は,さらに詳細な長鎖非コードRNA (UBE3A-ATS)の作用機序を明らかにするため,テトラサイクリン発現誘導システムを用いた多様な長さのUBE3A-ATSの異所的発現実験を行った。今回,pTRE3Gプロモーターを長鎖非コードRNA,UBE3A-ATS転写領域600kb以内1カ所に相同組み換え法により挿入し,ドシサイクリンによる誘導で本来発現していない母方ヒト15番染色体上からUBE3A-ATSを転写させることに成功した。また,RT-PCR法でUBE3Aの発現を確認したところ,UBE3A-ATSが転写しているにもかかわらず,あまり発現量に変化がなかった。今後,DNA-FISHにて15q11-q13領域のクロマチン構造を解析し,クロマチンリモデリングに必須の機能性RNA領域を同定する実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスPWS-ICをヒトPWS-ICに置き換えたマウス(Hsマウス:フロリダ大,Dr.Resnickより分与)を用いた実験は,Hsマウスの個体数が予定より増えなかったので,予定より遅れている。しかしながら,すでに解析に十分な個体数を確保できたため,おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
核マトリクス結合タンパクSATB1による長鎖ncRNA, UBE3A-ATSの核内分布とクロマチン脱凝集の制御機構の解明を目的に,父方ヒト15番染色体を1本保持したF12細胞株においてSatb1をsiRNAでノックダウンさせ,UBE3A-ATSの核内分布がどのように変化するか検証する。また,SATB1が長鎖非コードRNA, UBE3A-ATSの核内分布に重要な役割を果たしていることが明らかとなった場合,その制御メカニズムの一般則を見出すため,RNA-IP解析によりSATB1に結合する長鎖非コードRNA(機能性RNA)を網羅的に同定する。
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Research Products
(4 results)