2012 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン応答遺伝子の転写調節とエネルギー代謝に関わる生体作用の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Crosstalk of transcriptional control and energy pathways by hub metabolites |
Project/Area Number |
24116521
|
Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
池田 和博 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (30343461)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 転写 / 代謝 / エストロゲン / エストロゲン応答遺伝子 / 核内受容体 / 遺伝子改変マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体(ER)はステロイドホルモンであるエストロゲンをリガンドとする転写因子であり、標的遺伝子の発現制御を介して生理的および病態生理的な作用を発揮する。臨床的に、エストロゲン欠乏が閉経後女性の動脈硬化、肥満、骨粗鬆症を促進することが知られており、脂質代謝、骨代謝をはじめとする代謝調節におけるERの作用が想定されているがその作用メカニズムは十分に解明されていない。ミトコンドリアは酸化的リン酸化とATP産生を行う細胞内小器官であり、糖代謝、脂質代謝、エネルギー代謝と密接に関連し、メタボリックシンドロームや糖尿病などに関与すると考えられている。我々は、エストロゲン応答遺伝子としてCOX7RP (cytochrome c oxidase subunit 7-related protein)遺伝子を単離し、そのホモロジーから、ミトコンドリアのシトクロムcオキシダーゼ(COX)との関係に着目し、COX7RPの発現とエネルギー代謝における機能を細胞レベルと遺伝子改変マウスを用いて明らかにすることを目的とした。まず、COX7RPを細胞に導入して免疫染色法を行うことにより、COX7RP蛋白質はミトコンドリアに局在することが示され、同時に、COX活性とATP産生が亢進することを明らかにした。一方、COX7RPノックアウトマウスから調整したMEF細胞において、COX活性の減少とATP産生の減少が確認された。また、COX7RPノックアウトマウスは骨格筋におけるCOX活性が減少しており、運動能が低下していることを示した。さらに、COX7RPノックアウトマウスの褐色脂肪組織(BAT)において過剰な脂肪蓄積を認めた。従って、COX7RPはミトコンドリアのCOX活性を制御する因子であり、エネルギー産生に重要な役割を担っていると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COX7RPノックアウトマウスを用いた骨格筋、褐色脂肪組織、脂質代謝、糖代謝の解析が順調に進んでおり、COX7RP遺伝子の生体における作用の解明が進んでいる。また、COX7RPのミトコンドリアにおける作用機構の解明を細胞学的ならびに生化学的手法を用いて解析を進めており、新しい知見が得られている。以上の解析により、当初計画通りに解析は進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、COX7RPノックアウトマウスの表現型解析を行い、COX7RPのミトコンドリア呼吸昨日における作用を明らかにする。今後はCOX7RPトランスジェニックマウスも用いて、同様のの機能解析する。これらの解析を進めることにより、代謝とエストロゲンシグナルとの相互作用をエストロゲン応答遺伝子の観点で明らかにし、転写制御との関連を明らかにしていく。
|
Research Products
(5 results)