2012 Fiscal Year Annual Research Report
マウス胚における前後軸の起源
Publicly Offered Research
Project Area | Cell Community in early mammalian development |
Project/Area Number |
24116706
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高岡 勝吉 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (90551044)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 着床 / 前後軸 / 発生 / 分化 / 非対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物はどのようにして体軸を獲得するのだろうか?ショウジョウバエを含む多くの生物は、bicoidに代表されるような母性効果遺伝子のmRNAが非対称に分布することにより、すでに卵子の段階で分子レベルの非対称情報を獲得している。そして、それら分子レベルの非対称情報が後の体軸情報を提供する。それに対して、ヒトやマウスといった哺乳類は、分裂期胚が高い操作性や適応能を備えることから、卵子や受精卵の時期は分子レベルの非対称情報を獲得しておらず、その後の発生段階で獲得するであろうと一般的に考えられている。 マウス胚の前後軸に関する研究は、遠位臓側内胚葉 (DVE, Distal Visceral Endoderm) 標識遺伝子であるHexを中心に解析が進められてきた。受精後5.5日胚の遠位端に様々な遺伝子が発現する細胞群DVEが誘導される。DVEは5.7日胚で将来の前側へ細胞移動し、前側臓側内胚葉(AVE, Anterior Visceral Eendoderm)と名称を変える。そして、胚体部分に頭部誘導シグナルを送ることで、前後軸が形成されるとされてきた。 しかし、DVE標識遺伝子の一つであるLefty1が5.5日胚以前より一部の細胞で発現を開始していることを見出し、Lefty1について詳細な細胞系譜解析とDVE細胞の遺伝的除去実験の結果、当該分野の定説であった前後軸形成モデルを覆し、①DVEは4.5日胚で形成していること、②DVEとAVEは異なる細胞系譜であること、③DVEは遅れて生じるAVEを前方へガイドしている、という新たな前後軸形成モデルを提唱するに至った。さらに現在、極性の起源に迫るために、前後軸決定因子Lefty1の発現制御機構と機能の解析を行い、「前後軸をいつどのように獲得するか?」という課題に取り組み、明らかにしつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
種々の変異マウス、エンハンサー解析、ライブイメージング技術を駆使した解析により、おおむね採択者の仮説通りに研究が進行しており、今年度ないし来年度中には論文として発表できる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き解析を行い、今年度ないし来年度中には論文として発表できるよう精力的に推進する予定である。
|