2012 Fiscal Year Annual Research Report
共生による葉緑体光応答系の成立と進化
Publicly Offered Research
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
24117505
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
華岡 光正 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30508122)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 転写制御 / 光環境応答 / 進化 / 二成分制御系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞内共生起源に近い葉緑体を持つと考えられる原始紅藻シアニディオシゾン(以下シゾンと略す)と高等植物シロイヌナズナを用いて、葉緑体を中心とした光応答系の分子機構、および葉緑体による宿主支配機構を明らかにすることで、内部共生に基づく植物進化の実体を明確にすることを目的としている。本年度は特に、光に応答した葉緑体転写制御における機能が予想されるシゾンHIK(光受容体型ヒスチジンキナーゼ)とシロイヌナズナCSK(葉緑体光センサーキナーゼ)の機能解析を中心に行った。 ①シゾン葉緑体における光に自律応答した転写制御 HIKはレスポンスレギュレーター(転写因子)であるYcf27、Ycf29と共に葉緑体内で機能し、自律的な(葉緑体独自の)光応答に関与していると考えられる。そこで、特にYcf27のターゲットをクロマチン免疫沈降(ChIP)法を用いて広く探索し、HIK-Ycf27からなる二成分制御系が主要な光合成遺伝子の転写調節に関わることを明らかにした。また、HIK阻害剤を用いた解析により、葉緑体のHIKを介した光応答系が核遺伝子の転写制御にも関与していることも見いだした。以上より、HIKの葉緑体内の光受容体としての機能と、宿主制御における役割の一側面を明らかにすることができた。 ②シロイヌナズナ葉緑体の光応答転写制御におけるCSKの役割 シロイヌナズナの核ゲノムには、シゾンのHIKオーソログ(CSK)をコードする遺伝子(At1g67840)が存在しており、葉緑体に局在することが示されているが、詳細な役割は明らかにされていない。そこで、この遺伝子の欠損株を用いて、いくつかのターゲット遺伝子を探索した。また、酵母Two-hybridスクリーニングによるCSKと相互作用するタンパク質の同定を目指し、材料となるプラスミドの構築や実験系の条件検討・最適化を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画として掲げた項目は概ね終了しており、共生進化における光応答システムの宿主への移行過程、および共生体-宿主間における相互支配関係の理解という本研究の目的の達成に向けて順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的、研究計画にしたがって2年目の研究を遂行する。特に大きな問題は現時点では挙がっていないが、研究の進行にしたがって方針や内容を微調整しつつ進める。当初の計画に掲げた内容を上回る実績が得られるよう、効率的、効果的な研究の推進に努める。
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[Journal Article] Circadian control of chloroplast transcription by a nuclear-encoded timing signal.2013
Author(s)
Noordally ZB, Ishii K, Atkins KA, Wetherill SJ, Kusakina J, Walton EJ, Kato M, Azuma M, Tanaka K, Hanaoka M, Dodd AN.
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Journal Title
Science
Volume: 339
Pages: 1316-1319
DOI
Peer Reviewed
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