2012 Fiscal Year Annual Research Report
共生成立の分子基盤を解く:昆虫-細菌共生系における大規模RNAiスクリーニング
Publicly Offered Research
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
24117525
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
菊池 義智 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (30571864)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 共生 / 昆虫 / 細菌 / RNAi |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの生物がその体内に共生微生物を持つことが知られているが、それら内部共生の分子基盤については未だ不明な点が多い。本研究ではホソヘリカメムシ-Burkholderiaモデル共生系を対象に、共生器官の大規模トランスクリプトーム解析およびRNAiスクリーニングを行い、共生成立に関わる宿主昆虫側の遺伝子基盤を網羅的に同定することを目的とする。研究初年にあたる本年度は、(1)共生器官において共生時に特異的に発現亢進する遺伝子の特定、(2)発現遺伝子の定量RT-PCR、(3)dsRNAによる経口RNAiを行った。(1)については感染、非感染個体の共生器官についてRNAseq解析を行い、大規模トランスクリプトームを得た。de novoアセンブリによって明らかとなった約92,000遺伝子についてRNAseqデータに基づいてその発現量推定を行い、新規分泌タンパクやカテプシン様プロテアーゼ、抗菌タンパクなどが共生器官で高発現していることが明らかとなった。(2)については、特に発現量が高かった新規分泌タンパク数種について定量RT-PCRを行い、共生細菌の感染・定着に伴って発現が亢進することを確認した。(3)については、トランスクリプトームによって絞られた共生関連遺伝子候補について機能解析を進めるにあたり、インジェクションよりも簡便な経口RNAiを確立することを目的に行った。RNAiの判別が容易なLaccase2遺伝子(クチクラの黒化に関わる遺伝子)を対象に、dsRNAを合成し各種濃度で経口投与を行ったが、インジェクションによる投与のようには発現阻害が観察されなかった。この点に関しては来年度も検討を続ける。得られた成果の一部について学会発表を行うとともに、論文発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は昆虫-細菌共生系に関わる宿主昆虫側の分子基盤について、トランスクリプトーム解析およびRNAiによって網羅的に明らかにすることを目的としている。今年度はESTおよびRNA-seqによるトランスクリプトーム解析を進め、新規分泌タンパクなど興味深い発現遺伝子を発見し今後のRNAiスクリーニングのターゲットを絞り込むことに成功した。加えて、論文発表・学会発表もコンスタントに行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により共生器官で特異的に高発現する遺伝子を数多く同定することができた。特にシステインリッチな新規分泌タンパクが高発現しており、それらの機能について定量RT-PCRやin situ hybridization、RNAiにより解析を進める。その他の共生関連遺伝子候補についても同様に解析を進める。
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