2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺胞内で異物を捕捉するレクチン様蛋白質SPーDによる受容体を介した炎症制御機構
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
24117707
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
広瀬 茂久 東京工業大学, 生命理工学研究科, 教授 (10134199)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 肺胞サーファクタント / SP-D / ノックアウトマウス / BALF / マクロファージ / Ig-Hepta / GPR116 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 発生段階及び炎症依存性のIg-Heptaの発現量の変動と発現細胞の特定 (1) Ig-Heptaの発現部位の決定と各発生段階での発現量の推定:本研究では,最近 作製に成功したKOマウス (Ig-Hepta-/-) の特徴,すなわちTargeting vectorにnls-LacZが組み込まれており,発現部位と発現量をb-galactosidaseアッセイによって同定・定量できる性質を活用して,Ig-Heptaが肺のどの細胞に多く発現しているかを 発生段階を追って決定した。その結果,サーファクタントを合成分泌している肺胞II型細胞に特異的に発現していること,及び分娩1日前から合成が盛んになり,分娩に伴う肺呼吸に備えていることが明らかになった。 (2) 肺胞内炎症とIg-Heptaの発現量との相関:KOマウスでは,通常の施設で飼育した場合,生後数日で肺胞サーファクタントが過剰となり,その後白血球の浸潤も顕著となる。これが飼育環境中に浮遊する異物によるものか,Ig-Hepta欠損に伴う本質的なものかを明らかにするために,理化学研究所バイオリソースセンターの高度清浄環境下で飼育したKOマウスについて,週齢を追って白血球の浸潤の有無を調べた。その結果,高度清浄環境下で飼育した場合でも,同様に肺胞サーファクタントの過剰が起き,それに伴って二次的にマクロファージの肥大化やマクロファージからの炎症性サイトカインの放出が起きていることが明らかになった。 2. KOマウスの肺胞内へ浸潤・集積する白血球集団のプロファイリング Ig-Heptaノックアウトマウスの肺胞には多数の白血球が浸潤し蓄積している。炎症性細胞のマーカータンパク質に対する抗体を用いて,肺胞洗浄液BALF中に含まれる浸潤性白血球細胞の種類を同定したところ,大多数のマクロファージの中に少数のリンパ球が混在することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した以下の2項目に関し,興味深い結果を得,現在論文を投稿中である。 1. 発生段階及び炎症依存性のIg-Heptaの発現量の変動と発現細胞の特定 2. KOマウスの肺胞内へ浸潤・集積する白血球集団のプロファイリング
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,アレイ解析やメタボローム解析など網羅的な解析を行い肺胞サーファクタントと自然免疫の調節においてかなめとなっている受容体Ig-Hepta/GPR116のシグナリング機構を解明する方針である。
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