2012 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性接触皮膚炎感作に必要な非感染性自然免疫活性化経路
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
24117714
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
原 博満 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20392079)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アレルギー / 接触性皮膚炎 / 樹状細胞 / ITAM / CARD9 / Syk / 自然免疫 / シグナリング |
Outline of Annual Research Achievements |
in vitroにおけるcontact sensitizer刺激後の骨髄由来DCからのIL-1alphaおよびIL-1betaの産生はITAM-Syk-CARD9/BCL1 0経路に依存することを我々は見いだした。しかし、contact sensitizer接触時には皮膚の角化細胞やMφからもIL-1-alpha/betaが産生されることが報告されており、皮膚DCにおけるDAP12-NLRP3を介したIL-1β産生が実際のcontact sensitizerの経皮感作においても重要であるかは明らかではなかった。これを証明するため、まず我々はミックス骨髄キメラ法とToxin receptor-mediated conditional cell knockout ( TRECK)法を組み合わせることでDC特異的に特定の遺伝子を欠損したマウスを作製するシステムを考案し、その構築を試み、これに成功した。この新システムを我々はMixC-Treck法と命名した。我々はMixC-Treck法を用いてDC特異的にDAP12、CARD9、MyD88、NLRP3を欠損したマウスを作製し、contact sensitizer皮膚塗布によるCHS誘導試験を実施した。その結果、DC特異的にMyD88を欠損したマウスはWTと同程度に接触皮膚炎を発症したが、DAP12、CARD9、NLRP3、SykをDC特異的に欠損するマウスは接触皮膚炎に感作されないことが判った。従って、皮膚DCにおいてDAP12-Syk-CARD9経路を介してIL-1が分泌される事が接触性皮膚炎感作に必須である事が明らかとなった。また、Sykシグナルの活性化能はcontact sensitizerに共通の性質であることも判った。すなわち、Sykシグナルを活性化できるかで化学物質のアレルゲン性が決定されると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の第一の目標に掲げていた、DC特異的に遺伝子を欠損させる新システムの構築に成功し、これを用いてDCにおけるITAM-syk-CARD9経路が接触性皮膚炎の感作に必須である事をin vivoで証明する事が出来た。また、第2の検討事項に挙げていたDAP12-Sykシグナルを介したNLRP3 inflammasome活性化機構の解析を行った結果、DAP12-SykシグナルがROSの産生誘導を介してNLRP3 inflammasomeを活性化することを明らかにした。また、CARD9/BCL10 complexはROSの産生にもinflammasome活性化にも関与しないが、NF-kBの活性化を介したpro-1alpha/betaの発現を誘導する経路に必須であり、これによってcontact sensitizer刺激によるDCからのIL-1分泌に関与することも我々は明らかにした。従って、前年度の目標はほぼクリアーしたため、本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
計画1:contact sensitizerを感知する自然免疫センサーの探索と解析 (1) コンビナントITAMR-Ig蛋白のライブラ リーを作製し、これを用いて、contact sensitizer処理したDC、皮膚 角化細胞、皮膚組織、およびその抽出物に結合活性を有する受容体を探索する。これまでに作製したITAMR-Igでの検討により、contact sensitizer処理した細胞に結合活性を示すITAMR候補を1つ見いだしている。 以下、これをCSR-1と呼ぶ。 (2) ITAMシグナルにより活性化するNFATプロモーターの制御下にGFPリポーター遺伝子を発現する細胞株(43-1 細胞)に、(1)の検討により得られた候補受容体とDAP12を共発現させた細胞を作製し、contact sensitize r処理した細胞/組織/抽出物で刺激して、候補受容体のシグナリング活性化能を検証する。GFPの検出はフロー サイトメーターを用いて行う。 計画2:contact sensitizerが誘導する内因性リガンドの探索と解析 (1) 43-1レポーター細胞をリガンドスクリーニングのプロー ブとして用いて、Contact sensitizer処理細胞や皮膚組織など、受容体刺激活性のあるサンプルを生化学的、化学的 、酵素学的に処理あるいは分画し、計画1(2)で作製した候補受容体発現リポーター細胞を用いて活性画分の精製を行い、活性物質の構造解析に着手する。 (2) これまでの検討で、CSR-1はアポトーシス細胞に結合活性を示すことを我々は見いだしているため、phospha tidylserine(PS)などのアポトーシス関連eat-meシグナル分子をリガンド候補として検討する。また、アポトー シス細胞から調製した試料からリガンドの単離を試みる。
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