2012 Fiscal Year Annual Research Report
再生現象が制御する炎症調節機構の解明と、その制御
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
24117716
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
湯浅 慎介 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90398628)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生 / 炎症 / 筋肉 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性炎症は様々な疾患の発症や進展における基盤となっているが、発症・維持機構そして収束機転は分かっていない。これらの機序を正しく理解することにより、様々な疾患発症・進展の基盤となっている慢性炎症を制御することが可能となる。一般的に組織傷害後の治癒機転において、急性炎症、組織再生、治癒へと向かう。しかしながら、一部は急性炎症から慢性炎症に至り、慢性疾患に移行する。慢性疾患の発症において重要な転機は、組織傷害から治癒に向かうものと慢性疾患に移行するものの違いである。何が急性炎症から慢性炎症・慢性疾患への移行を防ぎ、慢性疾患と治癒がどのように分かれていくかは不明である。 組織傷害後に診られる再生現象は、慢性炎症の存在下においても認められるが機能を維持するのに十分な再生現象は起こっていない。すなわち慢性炎症時においても、慢性炎症に伴う組織崩壊と再生現象による組織再構築のバランスにより治癒と慢性疾患の発症・進展が分かれる。さらには、慢性炎症と再生現象の詳細な直接的関与は不明である。我々は、骨格筋再生時にG-CSF受容体が一過性に再生骨格筋細胞において発現することを見出し、さらにG-CSFを投与することにより、再生が促進され、炎症が収束し治癒へ向かうことを見出した。本研究では、再生現象と炎症収束の分子的かかわりを明らかとし、再生現象を促進することにより慢性炎症の発症予防と、慢性炎症の治療可能性を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生と炎症の関与を検証するために、筋ジストロフィーモデルを用いた検討を行った。また申請者らがこれまでに明らかにした、G-CSFによる筋肉再生促進作用との関与を検証するためにG-CSF受容体欠損マウスも用いた。これらのモデルマウスにより、骨格筋の慢性障害モデルとしての筋ジストロフィーモデルマウスにおいて、自発的再生による炎症鎮静効果が明らかとなり、さらに再生促進による付加的炎症鎮静効果も確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、再生現象による炎症鎮静効果における分子機序を明らかとすることにより、直接的に慢性炎症を鎮静化させる分子を同定する。さらに同分子により、様々な慢性炎症性疾患に対する新規治療方法の開発を試みていく。
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Research Products
(4 results)