2012 Fiscal Year Annual Research Report
TLRシグナルはBtkを介してNLRP3インフラマゾームの活性化を制御するのか?
Publicly Offered Research
Project Area | Homeostatic inflammation: Molecular basis and dysregulation |
Project/Area Number |
24117718
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森田 林平 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00362541)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 免疫学 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス腹腔マクロファ-ジ及びヒト単球性白血病細胞株THP-1をPMAにより分化させたマクロファ-ジ (THP-1-Mac) 何れにおいてもAlumで誘導されたIL-1b p17とcaspase-1 p20がBtk特異的阻害剤であるLFM-A13で抑制されることを確認している。更に poly (dA:dT) で誘導されるAIM2 inflammasome活性に対してはこのような効果が認められないことより、BtkはNLRP3 inflammasome特異的に関与することが示唆された。Btkの関与をより明確にするためにBtk変異マウスXid由来のマクロファージをAlumで刺激すると、野生型由来マクロファージに比べて、IL-1bの産生及びCaspase-1の活性化の優位な低下を認めた。THP-1マクロファージに対してBtk shRNAによるBtkのノックダウンを行ったところ、同様な結果が得られた。 更にXidの腹腔内にAlumを注射し腹膜炎を誘発させたところ、腹腔内の侵潤好中球数は野生型に比べてBtk変異マウスXidで優位に低下していた。これらの結果はBtkがNLRP3 inflammasomeの活性化を制御していることを示す。 過去にTLRのシグナルがBtkの活性化を誘導することが報告されており、本研究の成果と併せ考えると、Btkはシグナル1をシグナル2の橋渡しをするシグナル分子である可能性が深まった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BtkのNLRP3 inflammasome活性化への影響を分子レベルで解析する点ではベクター作成等の準備段階に留まっているが、Btk shRNAを用いたBtkノックダウンの実験及びマウスを用いた個体レベルでのBtkの重要性を確認できた点では、一つの目的を達成したと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は主として、BtkのNLRP3 inflammasomeの制御機構を分子レベルで解析する。特にNLRP3のリン酸化に着眼する。 Btkの野生型、ドメイン欠損体そしてE41K-BtkをNLRP3と共にHEK293Tに強制発現させNLRP3の免疫沈降を行い、リン酸化チロシン特異的抗体4G10を用いたウェスタンブロット解析によりNLRP3のチロシンリン酸化を証明する。Btkは223と551番目のチロシンのリン酸化により活性化すると考えられておりこれらのアラニン置換の発現ベクタ-も合わせて作成し、NLRP3と共にHEK293Tに強制発現させた際のNLRP3のチロシンリン酸化の有無を調べる。尚Btk shRNAを安定発現したTHP-1-M#61542;をNLRP3あるいはASC抗体により免疫沈降を行い、4G10にて内在性のNLRP3のチロシンリン酸化も明らかにする。更に、NLRP3のリン酸化が証明された場合、GST融合NLRP3をBtkと共にHEK293Tに発現させグルタチオンカラムによりGST融合NLRP3を精製する。精製NLRP3をトリプシン処理しMS/MS解析によりリン酸化部位を同定する。尚、BtkがNLRP3をリン酸化するにはinflammasomeを形成する細胞内環境が必要である可能性がある。その場合はAlum刺激THP-1-M#61542;の細胞溶解液をSDSゲル電気泳動にかけ、NLRP3のバンドを切り出しゲル内消化によりペプチドサンプルを得る。
|