2012 Fiscal Year Annual Research Report
思春期の精神病理に対する情動・認知的自己制御力の影響に関する発達行動遺伝学研究
Publicly Offered Research
Project Area | Adolescent mind and self-regulation |
Project/Area Number |
24118507
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤澤 啓子 慶應義塾大学, 文学部, 助教 (00453530)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 行動遺伝学 / 思春期 |
Research Abstract |
今年度は、以下の点について実施した。1、研究参加者に双生児研究の概要を知ってもらうためのHPを作成した。2、慶應義塾大学文学部倫理委員会より、研究実施上の倫理的配慮の方法について承認を受けた。3、質問紙予備調査を実施し、質問紙本調査で使用する項目について確認した。4、質問紙本調査(1回目)を実施し、約1000家庭からの回答を得た。5、内分泌実験の予備実験をおこない、実験方法やホルモン分析方法について確認をした。6、質問紙本調査で得られたデータを元に、学会発表をおこなった。 今年度得られたデータの予備的解析から、自己制御力に関わる気質(実行制御)に含まれる、行動抑制の制御・注意の制御・行動始発の制御の個人差は、遺伝要因と非共有環境要因で説明されることが示された。これを踏まえ、個人内の要因である気質が、思春期における反社会的行動との関連において遺伝要因と環境要因がどのように関連しているか、本調査データに対して相関因子分析モデルによる多変量遺伝分析をもちい検討をおこなった。その結果、児童後期以降の子どもの行動抑制の制御が低いと、反社会的傾向が高まり、その関連においては遺伝要因が両者を負に相関させる影響を及ぼすことが示された。また、年齢があがるにつれて遺伝要因の影響がより大きくなることが示された。これらのことから、思春期の子どもの反社会的傾向については、問題行動自体を介入対象とするとともに、行動抑制の制御などその子の気質・パーソナリティに焦点をあてた対応をすることがより効果的である可能性が示唆された。95万円を繰り越し、平成25年度の質問紙調査票発送の際に新たに抽出した家庭を追加して発送した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会からの承認に予定よりも時間がかかったものの、今年度計画していた質問紙調査予備調査、質問紙本調査、内分泌実験予備実験をそれぞれ大きな問題なく実施することができた。また、質問紙本調査のデータを元に成果を学会発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙本調査(1回目)のデータ分析結果をもとに、内分泌実験の対象者を選出し、実験参加の案内を送付する。内分泌実験の本実験を実施する。質問紙本調査(2回目)を実施し、データ分析をおこなう。
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