2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工細胞内の代謝を制御する膜輸送系の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
24119511
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野澤 彰 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (30432800)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人工細胞 / リポソーム / ミトコンドリアキャリア / 無細胞タンパク質合成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,合成生物学の工学的な基盤技術として,初発基質の取り込み,代謝物の排出,エネルギー分子の再生,還元型補酵素の再酸化など,人工細胞内に構築した反応系を持続的に稼働させるために必要不可欠となる物質輸送系の構築を行う.生体膜が担う重要機能を念頭に,人工的に調製するリン脂質二分子膜で形成されたリポソーム内の反応系に必要なエネルギー分子の交換反応系,NADH再生に必要な補酵素還元当量の輸送系のベシクル内分子構築を目的として研究を開始した.これまでにエネルギー分子の交換輸送体として酵母のミトコンドリアキャリアファミリーに属するATP/ADP交換輸送体、ATP/AMP交換輸送体、GTP/GDP交換輸送体を、またNADH再生系の輸送体としてシロイヌナズナと酵母のリンゴ酸/オキソグルタル酸輸送体をコムギ無細胞系で合成し、それぞれ期待される交換輸送活性を示すことを確認した。この無細胞系による膜タンパク質の合成および活性測定に関する結果については学会で報告した。また、リポソーム内に内封する反応系としてルシフェラーゼによるルシフェリン酸化系の使用を試みることとした。ホタルルシフェラーゼとヒカリコメツキムシルシフェラーゼに関してコムギ無細胞系を利用した合成・精製系を構築し、それぞれの活性を測定した。その結果、ヒカリコメツキムシ由来のルシフェラーゼの方がタンパク質量あたり約4倍の活性を示すことが明らかになり、ルシフェラーゼはヒカリコメツキムシ由来のものを使用することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では人工細胞におけるエネルギー分子の輸送系とNADH再生系の構築を目標に研究を行なっている。これまでにエネルギー分子の交換輸送体として使用予定の3種の輸送体、ATP/ADP交換輸送体、ATP/AMP交換輸送体、GTP/GDP交換輸送体について無細胞系での合成および活性検出に成功した。またリポソーム内に内封するルシフェラーゼに関しても無細胞系を基盤とした調製系を確立した。一方、NADH再生系に関してはリンゴ酸/オキシグルタル酸輸送体とグルタミン酸/アスパラギン酸輸送体を使用予定であるが、リンゴ酸/オキソグルタル酸輸送体に関してはシロイヌナズナと酵母由来の3種のタンパク質について合成および活性検出に成功している。おおむね予定通りに研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
エネルギー分子輸送系の構築に関しては、ATP輸送分子を膜上に配置したプロテオリポソームにルシフェラーゼを内封し、ATPを外部から供給することでリポソーム内のルシフェラーゼ活性を駆動する人工細胞内代謝反応制御系の構築を試みる。また、NADH再生系の構築に関しては、機能的アスパラギン酸/グルタミン酸交換輸送体の合成を確認後、購入済みの精製酵素リンゴ酸脱水素酵素とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよび前年度に合成確認を終えたリンゴ酸/オキソグルタル酸交換輸送体を組み合わせて人工細胞内でのNADH再生系の構築を試みる。
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