2012 Fiscal Year Annual Research Report
東日本大震災による家庭の社会経済状況の変化が児の発育に及ぼす影響
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of social stratification mechanism and control over health inequality in contemporary Japan: New interdisciplinary area of social and health sciences |
Project/Area Number |
24119702
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
黒川 修行 宮城教育大学, 教育学部, 講師 (30431505)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 社会経済状況 / 子ども / 発育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2011年3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震は東日本を中心に甚大な被害をもたらす東日本大震災を引き起こした。職場をなくし、経済的基盤を喪失した人も少なくない。このような背景はその地域に住む子どもたちの成長過程にも、大きな影響を与えているだろう。子どもの成長は保護者の社会経済的背景により大きく影響を受けることが知られている。そして、成長時における生活環境は児の将来に渡ってのライフスタイルにも影響を与えることが指摘されている。 そこで本研究では、東日本大震災において大きな被害を受けた地域に在住する子どもの親の社会経済的状況の急激な変化が、その児の発育にどのような影響を及ぼすのか、既存の前向きコホート研究においての成績を基に明らかにすることを目的とした。 本研究は、2001年1月から開始されたコホート研究であるTohoku Study of Child Developmentを用いて検討を行われた。このコホート研究では、親の学歴や経済状況、育児環境評価が質問紙を用いて行われている。また、東日本大震災に伴い、一時的に調査が中断していたが、2011年8月より調査を再開した。今年度は特に本研究で使用する項目(児の身長・体重の推移、対象となる家庭の基本特性、児の身体的特性、社会経済的要因等)に関するデータベースの作成および集積されているデータの整理を行った。なお、データベースの構築が完了し、データの整理等も合わせて行った。 本年度の研究計画は主にデータベースの構築となっていたが、一部のデータについては解析を行うことができた。84ヵ月調査時における児の体格について、解析を行った。その結果、東日本大震災前に測定を行った児の身長および体重の平均値についてみると、震災後に測定をおこなった児の身長および体重の平均値が大きい値を示したが、統計学的に有意な差は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はデータ解析のためのデータベースの構築が主に行われた。 順調にデータの整理が進み、その一部を解析を行う事が出来た。 その結果、東日本大震災前後の調査から得られた身長や体重の測定値の比較を行ったが、統計学的に有意な差は認められなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
既に解析データの入力およびデータベースの構築がなされていることから、平成25年度にはスムーズな解析を進める事が出来る。 また、個人の発育状況やその変化を観察するために、個人の発育曲線などを作成し、集団のみならず、個人からの解析のアプローチを目指したい。
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