2012 Fiscal Year Annual Research Report
インターネットの構造をもとにした脳のモデルの提案とコミュニケーションの実験
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
24120704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
池上 高志 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (10211715)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | デフォルトモード / Twitter / 感覚交差 / 移送エントロピー / PSN |
Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトの提案は、デフォルトモード(安静時の大脳皮質の基盤となる活性パターン)とエピソード記憶(経験したイベントの時間順序にしまわれた個別の記憶)という脳の2つの特徴を中心テーマとする。これを最近のインターネットを支えるグーグルの5つのアルゴリズムと方法をベースに考察/モデル化する。H24年は特に3つのテーマについて推進できた。 1) 1年間に渡ってクロールしたTwitterの時系列を用いて、脳に見られるようなデフォルトモードを発見し、それを移送エントロピーを用いて特徴つけることができた。特に単語の使用頻度ランクが高いものが他の単語に対し移送エントロピーのソースとなり、ランクが下がるほどシンク担っていることがわかった。ソースとなる場合には他の単語の不確定性を下げる事ができるという意味である。また情報の流れが最小時間単位依存していることを明示的に計算して示した。これは実際の神経細胞の解析にも威力を発揮する。2) 感覚交差実験を用いて、どのように2人の人間があるゲームを通じて共時的に、相手のことが正しく判定でき、かつ相手の存在が明瞭に感じられるようになることがわかった。3)Packet Switching Network(PSN)といわれるインターネットのバックボーンの構造をモデル化し、それの力学的な性質と、PS2というより精密なPSNのシミュレーションと対照した。その結果、カオスの縁でPSNのスループットが最大化されること、などを示すことができた。カオス領域はパケットが混雑している領域である。これは脳の中の信号を混雑しているかどうかで考える基盤を与える。
1)の結果は、PLoS ONEに投稿・受理された。2)の結果は、現在2つの国際会議で発表し、2013年のASSC会議へ投稿している。また3)の結果は、国際雑誌に投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Plosなどのジャーナル誌にアクセプトされ、あるいは国際会議に投稿できるまでの充分な成果をあげることができたので、そう評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度なので、3つに分けて行う。 1) 時間スケールつきの移送エントロピーに関する結果をまとめて投稿する。2) 感覚交差実験の結果を論文として投稿する。3)Packet Switching Network(PSN)の結果を、投稿する。
これ以外にも、1)のつづきとして、Twitter時系列にみられるバースト現象のモデル化と、その統計的解析に関する研究を整理して、論文として投稿する予定である。
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