2012 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定ダイナミクスの階層性と不安定性を理解するための基礎理論の構築
Publicly Offered Research
Project Area | The study on the neural dynamics for understanding communication in terms of complex hetero systems |
Project/Area Number |
24120705
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
郡 宏 お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 准教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 同期現象 / 粗視化 / 複雑ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
コミュニケーションによる意思決定の背後には階層的な構造がある。つまり、各々の意思決定は神経細胞ネットワークなどの大自由度ヘテロ系が作り出すが、ネットワークには実効的なモジュール構造があると考えられ、複数の部分集団の結合系と見なせる。本研究では、大自由度ヘテロ系の振動子ネットワークの縮約理論に取り組み、意思決定などの複雑なダイナミクスを理解するための基盤理論を構築している。これまでの研究で、重要なモードを表す変数の構成と、その変数が従う運動方程式を導くための系統的な理論を構築できた。この理論は以下の3つのステップで構成される。(i)位相ロック解の周りで線形化する。(ii)局所的には固有座標と一致し、また、位相モデルのもつ回転対称性を保持する非線形変数を導入し、その運動方程式を導出する。(iii)不要なモードを削除する。これにより、大自由度系が少数モードによって確かに記述できることを、いくつかの具体例を用いて検証した。特に、状況に応じては広いパラメタ範囲で定量的に挙動を再現することや、複数の分岐が再現できた。この結果は従来の粗視化手法ではできなかったことである。本手法は上記の処方箋に基づいて任意の位相振動子系を系統的に粗視化するこができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初研究計画であげられた課題はおおきくわけて2つあるが、1つについては上述の通り24年度でおおむね達成できた。もう1つは不安定性を内包する動的素子の結合系の一般的な振る舞いを調べることであるが、これは25年度中に完成できる予定である。したがって、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の前半に上述の粗視化理論を論文にまとめ出版する。 また、同時にもう1つの課題である不安定性を内包する動的素子の結合系の一般的な振る舞いについての研究を進める。結果はそろいつつあるので、25年度中に十分出版まで達成できると考えている。
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